くもんの中学基礎がため100%中2数学 計算・関数編―学習指導要領対応 の感想

教える立場からのレビューです。
小中高校生やそれ以上の方に数学を教えた経験をもつ者です。
このシリーズは、旧版のときから愛用しています。

【教材として】

他学年用と同様、中2数学の基本事項がしっかりと身につくように、よく工夫された問題集です。式・連立方程式・一次関数については、これだけわかっていれば十分です。特に難問やマニアックな問題などは解けなくても、将来困ることは全くありません（理系進学の場合も）。余力のある人は、本書のような「標準的な内容」で、どんどん先に進み、中学の数学を、さっさと終わらせてしまいましょう。より高いところから見渡すことによって見えてくるものがあるはずです。

※連立方程式の解法（加減法）については、「やや型にはめすぎかな？」と思うところもあります（決して間違いではなく、苦手な生徒を混乱させないための配慮だということは理解しています）。何のことかというと、連立方程式を構成する2本の式を
（ｘの項）＋（ｙの項）＝（定数項）の形にすることにこだわりすぎている部分が見られるということです。例えば18課（ｐ３８）の例では
４ｘ＝　３ｙ＋５　
２ｘ＝−３ｙ＋７
をわざわざ
４ｘ−３ｙ＝５
２ｘ＋３ｙ＝７
と変形させていますが、これは無駄な操作で、そのまま上下の式を足せばよいわけです。
優秀な生徒は、自分で「どうでもよい」ことに気付くとは思いますが。

【使用法・指導上の留意点】

他学年用と同様、全ページをコピーして使用することをお勧めします。Ｂ４で５４枚になります。コピー代が少々かかりますが、繰り返しの学習に有効ですし、本のまま使用すると本の厚みによる凸凹が気になりますが、コピーだと紙が平らなのでストレスなく学習できます。「〜〜のまとめ」というページと多くの人が苦手としている「連立方程式の応用」（３０課〜３７課）は複数枚コピーしておきましょう。