Thank You for Your Service の感想
参照データ
タイトル | Thank You for Your Service |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | David Finkel |
販売元 | Sarah Crichton Books |
JANコード | 9780374180669 |
カテゴリ | » 洋書 » Special Features » all foreign books |
購入者の感想
深刻化するイラク戦争帰還兵のPTSDや自殺問題を、兵士や家族・遺族の視点から描いたノンフィクションです。複数の家族が登場しますが、戦地や本土で相互に交流があり、アルトマン映画の群像劇のようにそれぞれの人生が交錯していきます。
戦場を経た兵士たちが見る悪夢や幻覚は凄惨で、マクベスを思い起こさせます。また、生活苦が根底にあり、兵士と妻が、帰還後に互いに互いを追いつめていく描写、子供がそこに巻き込まれていく様子は読んでいて胸が苦しくなりました。現代的なのは矢継ぎ早に夫婦間でやりとりされた携帯のメールや、夫の暴力に苦しんだ妻が携帯に残した日記などが、詳細に再現されていることでしょうか。救いのないエピソードが続きますが、細部まで淡々と描写されており、作者の筆力は見事としか言いようがありません。
あくまで当事者の視点から見た作品のため、医学的アプローチやマクロ的な政策論にはほとんど踏み込んでいません。しかし、現場に送り込まれる兵士は比較的恵まれない若い兵士が多かったこと、療養のために仕事を長期間休む余裕がないこと、軍当局が自殺問題に有効な手だてを打てていないことなどが、エピソードの蓄積を通して伝わってきます。
タイトルは戦地から戻った兵士によくかけられる「お勤め、ご苦労さまでした」といった敬意を表す言葉で、作品中にも頻出します。とはいえ、兵士たちは敬意に見合うだけの処遇を受けているだろうか、という皮肉が込められたものと推察します。
戦場を経た兵士たちが見る悪夢や幻覚は凄惨で、マクベスを思い起こさせます。また、生活苦が根底にあり、兵士と妻が、帰還後に互いに互いを追いつめていく描写、子供がそこに巻き込まれていく様子は読んでいて胸が苦しくなりました。現代的なのは矢継ぎ早に夫婦間でやりとりされた携帯のメールや、夫の暴力に苦しんだ妻が携帯に残した日記などが、詳細に再現されていることでしょうか。救いのないエピソードが続きますが、細部まで淡々と描写されており、作者の筆力は見事としか言いようがありません。
あくまで当事者の視点から見た作品のため、医学的アプローチやマクロ的な政策論にはほとんど踏み込んでいません。しかし、現場に送り込まれる兵士は比較的恵まれない若い兵士が多かったこと、療養のために仕事を長期間休む余裕がないこと、軍当局が自殺問題に有効な手だてを打てていないことなどが、エピソードの蓄積を通して伝わってきます。
タイトルは戦地から戻った兵士によくかけられる「お勤め、ご苦労さまでした」といった敬意を表す言葉で、作品中にも頻出します。とはいえ、兵士たちは敬意に見合うだけの処遇を受けているだろうか、という皮肉が込められたものと推察します。
この表紙がいいです。そこから醸し出される雰囲気。今から戦場に行く人。帰ってくる人。この場合
どちらかでしょうが、何とも言えない空気が伝わっています。ぺ―パーバックの面白さは、ハード版と違い、
様々な簡単な書評も載っていますし、装丁全体にもあります。
どちらかでしょうが、何とも言えない空気が伝わっています。ぺ―パーバックの面白さは、ハード版と違い、
様々な簡単な書評も載っていますし、装丁全体にもあります。