『荘子』 2015年5月 (100分 de 名著) の感想

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参照データ

タイトル『荘子』 2015年5月 (100分 de 名著)
発売日2015-04-25
販売元NHK出版
JANコード9784142230501
カテゴリ文学・評論 » 文学賞受賞作家 » 芥川賞 » 101-125回

購入者の感想

「しあわせ」という言葉は奈良時代は「為合」と表記し、天が為すことに合わせて
(受け入れて)生きることが人にとって幸せであるという意味だったようです。
つまり完全に受け身で、何も将来のことを予測せず無心で過ごすことが幸せという
ことで、これは荘子の考えそのものです。

 現代社会に暮らしている私たちは常に将来のことを考え、来期は今期よりも売り上げを
伸ばそうとか、次の試験ではもっといい点をとろうとか、社会全体の生産性をあげて
豊かな社会を作ろうとか、いつも何かに追われています。なかなか社会の桎梏を離れて
無心にはなれません。そんな悩める私たちに作家玄侑宗久氏が荘子を通じて、
もっと肩の力を抜いてのびやかに生きてはどうですかと当書で語りかけてくれます。

 荘子(荘周)は今から2300年前(戦国時代)の思想家。無為自然を基本とする
その思想は、道教や仏教(禅)、茶道などに大きな影響を与えています。
例えば、聖徳太子の冠位十二階(604年)の最高位、大徳(まひときみ)は真人君とも
書きますが「真人」は荘子から来ています。

 荘子は自分の考えを寓話(=面白い小説)のかたちで書いています。思想書のように
難しい理論を述べていないので読みやすく、楽しく読んでいろいろ考えさせるように
なっています。因みに「小説」という言葉も荘子から来ています。
例えば「つるべの寓話」、

  昔ある老人は、井戸の底までトンネルを掘ってその底まで下りて水がめに水を入れ
 それを抱えて穴から出てきては畑に注いでいた。それを見たある人が、老人に
 「つるべ」という水揚げの便利な機械をなぜ使わないのかと訊ねると「仕掛けからくりを
 使うものは、かならずからくり心(機心)を巡らし、こころが純白でなくなる。
 つるべの存在を知らないわけではないが、使うのが恥ずかしいだけだ」・・

 確かに私たちは効率を追求して便利なもの、便利なものとどんどん使い続けていますが
そのことでこころの安定を失っている面もあります。

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