中原昌也 作業日誌 2004→2007 の感想
参照データ
タイトル | 中原昌也 作業日誌 2004→2007 |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 中原 昌也 |
販売元 | boid |
JANコード | 9784990404901 |
カテゴリ | 文学・評論 » エッセー・随筆 » 著者別 » な行の著者 |
購入者の感想
彼の小説、映画評は愛読しているが、個人的には本作が最もおもしろく、ぐいぐい引き込まれ、相当な文字量をものともせずに一気に読んだ。彼の文章につねに出てくる苦しさの吐露は、短い文章で読む分にはちょっとしたユーモアに見えたりもするのだが、本書では実感が切実に迫ってくる(もちろん天性のサービス精神から誇張している部分はあるにせよ)。そしてその苦しさ・辛さはいま(近代?)の社会に生きることの息苦しさを確かに反映しているように思えた(ちょっと違うかも知れないが、ともかく普遍的なテーマだと)。また、むしょうにもっと映画を観たくなり、まともな本を読みたくなる本でもある(人によってはまともな音楽を聴きたくなるだろう)。著者の芸術に対する躊躇のないカネ払いのよさに影響を受け、読了後、2600円か……と思って買っていなかった『トランス=アトランティック』やら海外文学を、ケチるのが何だかしみったれで恥に思えて、まとめ買いしてしまった。その意味では、本書がよく読まれれば、ずいぶんいい社会になりそうだとも言えるかな。