「美女と野獣」の野獣になる方法 (文春文庫 み 35-2) の感想

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タイトル「美女と野獣」の野獣になる方法 (文春文庫 み 35-2)
発売日2010-10-08
製作者水野 敬也
販売元文藝春秋
JANコード9784167798017
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 倫理学・道徳 » 倫理学入門

購入者の感想

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どうしても気になって仕方ない本だったので、ついに買ってしまった(笑)。

時々ちょっとムッとするくらい、なれなれしい文体です。
でも、大げさな表現でユーモアを効かせてあって、かなり笑える。
で、ふざけているようで、結構マジです。

「うわっつらKindness理論」や「バタンチュー理論」はまだしも、
どこにでもいそうな猫や犬の写真つけて「綱吉理論」。
すごいのは、自身の初体験に基づく「BTO理論」。
日本代表や、エジソンや、孫子や、刑事コロンボも、著者の理論には登場する。
おまけに、赤い袋とじで「戦場のメリークリスマス理論」が付いている。

なんだこれ???
しかし、気がつくと、
「顔とか、運動神経とか、センスとか、才能とかで負けるのはいい。それは自分で選べるものじゃないから。でも、行動は、行動することだけは、決して、誰にも負けてはならない。なぜなら、それをするかしないかは自分で選べるのだから」というセリフに、思わずうなずいてしまっている自分がいた(苦笑)。

ということで、笑えるけれど、意外にいいところを突いているかも。
まあ、何事も、自己流だけでやみくもにやるよりは、
少しは他人の教訓から学ぶ姿勢を持った方がいいのだろうねえ。
それが、野獣になる方法であっても。。。

かなりの良書だと思う。「読み物としては面白いが、実践では使えない」という感想も散見される。たしかにふざけているとしか思えない箇所もある。だがそれは、筆者が「正しい情報を提供する」ことだけでなく、「読み手に伝わる文章を書く」ことを意識しているからだと思う。

この手のモテ本は、(その著者が男であれ女であれ)、「自分がいかにモテる人間であるか」ということを、やたらと匂わす本が多い。私自身は、そういう書き手の「上から目線」が嫌いだった。だから私は、「かつては全くモテなかった人間がモテ本を書いている」という事実に対する、筆者の「恥じらい」を、非常に好ましく思うのだ。

この本は一見、「ウケ狙いのふざけた本」に見える。だがそれは、筆者の透徹した自己批評の精神が、この書き手に「偉そうに、かつ真顔で」モテ指南をさせることを許さないからだと思う。ゆえに筆者は、モテ本の書き手でありながら、みずからを落として笑い飛ばす、という荒技をやってのける。そのスタンスは、筆者が知性的で、モテる男であることを示しているように、私には思える。だがそれゆえに、読む人によっては、ウケ狙いでふざけているように見えるのかもしれない。

「執着の分散理論」も、「うわっつらKINDNESS理論」も、「自虐ギレ理論」も、「デビュー理論」も、「DK心変わりの理論」も、「アリアリ理論」も、わたしの経験したかぎりでは、ほぼすべて真実だった。

単なる性欲を「恋愛感情」であるかのように錯覚し、一途な自分を美化してはならない(執着の分散理論)。具体的な行動を起こさずに、自分の「優しさ」が相手に伝わるなどと期待してはならない(うわっつら理論)。女性の心変わりを、甘く見てはならない(DK理論)。

どの理論も、恋愛というものに幻想を抱いている(そのため具体的な行動を起こせずにいる)人々に、厳しい現実を突きつけるものだと思う。ゆえにこの書き手は、それを「笑い」によってパッケージングして、読者に差し出しているのだ(たぶん)。

願わくは、この本が、単なるネタ本として消費されるのではなく、(私のような)奥手の人間が、「恋愛の大海」にむけて第一歩を踏み出す契機になることを望む。実践すれば、確実に「効く」から。0

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