ナイルパーチの女子会 の感想

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参照データ

タイトルナイルパーチの女子会
発売日販売日未定
製作者柚木 麻子
販売元文藝春秋
JANコード9784163902296
カテゴリ文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 » や・ら・わ行の著者

購入者の感想

ランチのアッコちゃんやねじまき片想い路線にげんなりし、黒柚木な作品に餓えていた時に出たこの新刊。
これまで、オサレアイテムや流行りのスポット、カジュアルかつ美味な料理で彩られた女同士の友情賛歌を得意技とする著者、しかし、この作品はそれらを引き剥がし、境遇は違えど「同性の友達がほしい」女二人のブログがきっかけの出会い、些細な出来事からの解れ、執着、付きまとい、疲弊、もはや友達とはいえない、脅迫して得ようとする思い出作り、破綻、別離と僅かな希望が描かれていく。
中期の山本文緒作品を彷彿させる無駄を廃した筆致で綴られるそれらは読む途中、自分自身にも身に覚えがある、それまで仲良しだった友達が離れていったときの困惑と執着、女同士のぺったりした関係をめんどくさいと思うと同時に女子会に勤しむ楽しげな女性たちを見たときの疎外感、羨望、憎悪が生々しく突き刺ささる。
見捨てられ不安と憤怒から、かつて幼なじみを破滅に追いやった栄利子が生真面目さからくるストーカー気質の強い獰猛なナイルパーチなら、ぱっと見、お気楽主婦、その実態は破綻した実家への後ろ暗さを引きずり、単調な生活への肯定に餓えている翔子の依頼心と腰の重さと冷たさはじんわりと人の心をじんわりと侵食していく人食いバクテリアのようだ。
互いを喰らいあい、挙げ句に自分たちがきちんと築いてきたのに、それを当たり前と甘受して蔑ろにしていたものすら失う二人の結末はこれまでの柚木作品にありがちな舌に残る甘さは皆無、むしろカカオ90パーセントのチョコレート級の苦味が口と胃に広がる。
しかし、それでも豆粒程度に残された希望と可能性が二人を導きますようにと願ってやまなくなる。
柚木麻子を見くびっていた読者をがぶりとひと飲みするような凶暴かつ真摯な作品に星4つ。

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文藝春秋から発売された柚木 麻子のナイルパーチの女子会(JAN:9784163902296)の感想と評価
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