新釈 荘子 (PHP文庫) の感想

※サンプル画像 クリックで拡大します

古典の良い現代語訳があまりKindle化されていない。
荘子も同様で、優れた現代語訳の定評のあるものはKindle化されず、荘子や老子の名を借りて偏った持論を延々と並べたり、また、誰でもKindle本を発行できることから、いい加減な意訳、評論の類も数多く出てきてしまい迷わされてしまうかもしれない。
これは、中国古典だけではなく、日本の古典も同様の傾向があると思う（例えば歎異抄）。
その中で、この西野広祥氏の荘子は良いと思う。
原文、読み下し文、そして、分かり易く、多少の意訳はあるが、原文に忠実な現代語訳がある。そして、中国文学の専門家である著者の適切な範囲と思われる（過剰でない）解説がつく。
私は、色々な荘子の現代語訳を読んだが、ひょっとしたら、他のものより正確で適切な訳なのではないかとも思った。それだけ自然に感じることが多いのである。
Kindleで荘子を読むなら、現時点（2013年12月19日）においては、この本をお勧めする。