東京を生きる の感想

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参照データ

タイトル東京を生きる
発売日販売日未定
製作者雨宮 まみ
販売元大和書房
JANコード9784479392743
カテゴリ文学・評論 » エッセー・随筆 » 著者別 » あ行の著者

購入者の感想

この本に出会ったタイミングが本当によかったので、余計に感謝。
題名の通り、東京で生きてる人はどこか一箇所は必ず「わかる」と唸ってしまうんじゃないかなぁ。
共感というとあまりにも安っぽい言葉ですが、自分とかなり向き合えた一冊です。

7万円のワンピースを買ったかえりに立ち食い蕎麦屋さんへ行ってたり、
冷たいタイルのお風呂で、王室御用達の高級シャンプーをつかってたり、
そんなちぐはぐな生活の中で、何が自分の「身の丈」なのか。

東京に住んでいたら誰もがわかるスポットでのシチュエーションのリアルさに
余計ゆさぶられました。
なんか探り探りな生活の自分にぴったりなタイミングで出会えて本当うれしかったです。

18歳で九州から上京した著者が、東京での暮らしに
ついて綴ったエッセイです。

「東京での暮らし」と書きましたが、「こういうことを
して楽しかった」「こういうものを食べて美味しかった」
「こんな素敵な部屋に住んでいる」といったのほほんと
したエッセイでは全くなく、自分に才能がないことに
気付いた時の絶望感や、孤独の深さや、欲望への渇きが
描かれていて、ヒリヒリとするような痛みや切なさに、
感情が激しく揺さぶられました。

でも、それは決して暗い感情ではなかったです。
それは、著者の文章が美しいということもあるし、
著者のひとつひとつの物の見方や感性に胸打たれる
瞬間がたくさんあったから。
なんというか、著者の東京への見方が、すごく
豊かなのです。
例えば、雨の日の夜にタクシーに乗った時に、
「フロントガラスの水滴に滲む街の毒々しいほど
豊かな光が綺麗で、いつまでも見ていたくなる。
この景色を何時間でもお金で買えたらと思う」
という文章があって、私は雨の日の夜にタクシーに
乗る時にそんなことを考えたことがなかったので、
同じ「東京」にいても、著者の見ている東京と私の
見ている東京は全然違うんだなと感じました。
著者の見ている東京はとても美しく、時には暴力的
だったりするけれど、自分には見えていない東京の
姿を味わうことができたのがすごく良かったです。

著者が建前を一切書いていないところも好感が持てました。
「若さ」というタイトルの章で、「私が身につけて、主張している
ものは、いったい何なのだろう。三十五歳を過ぎても、素敵な
女性だと思ってほしい、同情ではなく賞賛が欲しい。失望ではなく
欲情が欲しい。もっとお金を使うべきなのは、そのために身に
つけるものだと、思っている。」という文章がありますが、
本全体を通して、著者の真っ直ぐな気持ちが描かれていて、
そこにまた胸打たれるものがありました。

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