沈黙の宗教―儒教 (ちくまライブラリー) の感想

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タイトル沈黙の宗教―儒教 (ちくまライブラリー)
発売日販売日未定
製作者加地 伸行
販売元筑摩書房
JANコード9784480051998
カテゴリ人文・思想 » 哲学・思想 » 東洋思想 » 東洋哲学入門

購入者の感想

 この書籍は、前半部と後半部にきれいに分かれる。

 前半は、儒教そのものというより、儒教が成立した社会基盤を分析し、日本も中國と同様、汎神的な土壌にあることを様々な例をあげて説得している。この部分は非常に面白かったし、役に立った。

 だが、後半部になると、今度は日本の本来の土壌はこのような汎神的なものだから、政治はそれを基準として行えというヒステリックなものとなる。前段部での社会学的分析結果が、今度は宗教的熱情に変わるのである。

 そのような社会的基盤に乗っ取ってどのように今後運営すべきかではなく、日本人の根底にはこのような信条があるのだから今後もそれに従うべきだ、家族制度は残すべきだ、天皇が祭祀を行ってきたのだから今後も祭祀を続けるべきだ、それをしないから今日の社会の混乱が生じたのだと簡単に主張される。しかもこの部分にはいくつかの事例が挙げられているだけでまったく論証がない。そのため、せっかくの前半の論証が、後半の早急な政治宗教的信条の強調のためまったくスポイルされている。

 本人はその効果を狙ったのかも知れないが、学問としての前半と、プロパガンタとしての後半は別の書物にしてほしかった。

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