虚無の信仰 西欧はなぜ仏教を怖れたか の感想
参照データ
タイトル | 虚無の信仰 西欧はなぜ仏教を怖れたか |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | ロジェ=ポル ドロワ |
販売元 | トランスビュー |
JANコード | 9784901510059 |
カテゴリ | » 本 » ジャンル別 » 文学・評論 |
購入者の感想
19世紀ヨーロッパにおける、「仏教に対する異文化誤解」の諸相を描いた本です。この誤解はいろいろありますが、特に教義に関していえば、仏教の本質を「虚無の信仰=魂の消滅」と捉えた点です。魂の永遠を前提とするキリスト教徒にとって、「虚無」を神として崇める宗教と認識された仏教は、悪魔的な宗教だと考えられました。あるいは神を否定する「無神論」とされました。
また、民主的な平等思想が次第に力を持ってきたヨーロッパにおいて、保守的な知識人は、カースト制度に対して平等を訴えた仏教はヨーロッパの階級社会に対する民主勢力と重なって見えました。すなわち「彼ら(=仏教徒)はその信奉する教義のためにではなくて、社会体制と階級区分、ならびに世襲の身分制度を攻撃したために、追及され駆逐されたのである」(207頁)
本書は、これらの誤解の正体は、「新しく発見された、かなり異様な東洋の宗教をなんとか理解しようとするふりをしながら、じつはヨーロッパは、自分自身にかんして恐れていたもの、すなわち、崩壊・深淵・空・魂の消滅といったものからなるイメージを、ブッダにかぶせた」(292頁)ことによるものであると結論づけています。
また、民主的な平等思想が次第に力を持ってきたヨーロッパにおいて、保守的な知識人は、カースト制度に対して平等を訴えた仏教はヨーロッパの階級社会に対する民主勢力と重なって見えました。すなわち「彼ら(=仏教徒)はその信奉する教義のためにではなくて、社会体制と階級区分、ならびに世襲の身分制度を攻撃したために、追及され駆逐されたのである」(207頁)
本書は、これらの誤解の正体は、「新しく発見された、かなり異様な東洋の宗教をなんとか理解しようとするふりをしながら、じつはヨーロッパは、自分自身にかんして恐れていたもの、すなわち、崩壊・深淵・空・魂の消滅といったものからなるイメージを、ブッダにかぶせた」(292頁)ことによるものであると結論づけています。