聖書時代史 新約篇 (岩波現代文庫) の感想
参照データ
タイトル | 聖書時代史 新約篇 (岩波現代文庫) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 佐藤 研 |
販売元 | 岩波書店 |
JANコード | 9784006000998 |
カテゴリ | 人文・思想 » 宗教 » キリスト教・ユダヤ教 » キリスト教一般 |
購入者の感想
紀元前後にイエスが誕生し、パウロを筆頭とする使徒たちが布教活動を行ない、そして『新約聖書』が成立し、初期カトリシズムが確立する二世紀末までの歴史を扱う。著者はいわゆる「キリスト教」は様々な歴史的過程を経て(特にユダヤ教からの独立)成立したものだという立場から歴史を論ずる。イエスもパウロもユダヤ教内部の改革運動家であり、我々のいうところの「キリスト教」は全く知らなかったはずだとし、イエスと使徒の後継者たちが、ユダヤ教との決別、ギリシャ・ローマ・東方の諸思想からの影響、そして布教、迫害、内部抗争、グノーシス派との対立を経て「初期カトリシズム」として独自の宗教として成立する過程を資料を駆使し、丹念に追っている。新約外典、使徒教父文書、ナグ・ハマディ写本などにも触れている。またこの時代のローマやパレスティナに関する政治的事件も詳しいので、ローマ通史、パレスティナ通史としての価値もある一冊である。