犠牲(サクリファイス)―わが息子・脳死の11日 (文春文庫) の感想
参照データ
タイトル | 犠牲(サクリファイス)―わが息子・脳死の11日 (文春文庫) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 柳田 邦男 |
販売元 | 文藝春秋 |
JANコード | 9784167240158 |
カテゴリ | » 本 » ジャンル別 » 文学・評論 |
購入者の感想
もうだいぶ前に書かれた本だが、考えさせられる部分が多かった。著者の息子が、長い精神の病との戦いの後、自殺を試み、脳死段階を経て死んでいった悲劇について書かれた本だ。特に、その息子が書いていた日記や小説が痛ましい。それらはひどくナイーヴで内省的だ。しかしその表現は、誰もが体の深い底の部分に抱え込んでいる暗い闇の部分に触れており、簡単に目を反らす事が出来ない。殆どの人は自殺せず毎日を生きているけれど、その陰の部分に真剣に向かい合ってしまう人もいるのだ。脳死判定を受けた場面で、筆者の抱く思いは深い。脳死判断については、センチメンタルを廃し、科学的な論拠を築くべきだと言う立花隆の著作に同意しつ、息子が脳死となったその時私に大切なのはそのセンチメンタルな部分だと彼は述べる。その感情が溢れ出した部分にぼくはただ感動した。