隋の煬帝 (中公文庫BIBLIO) の感想

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参照データ

タイトル隋の煬帝 (中公文庫BIBLIO)
発売日販売日未定
製作者宮崎 市定
販売元中央公論新社
JANコード9784122041851
カテゴリ »  » ジャンル別 » ノンフィクション

購入者の感想

煬帝が暴君なのは知っていましたが、予想通りの駄目っぷりでした。最初から最後まで著者に誉められることなく死んでしまいます。
そんなエピソードの合間に、[凡庸な人物ほど、うぬぼれと虚栄心が強いものだ]とか[無能な人間ほど猜疑心が強い]とか宮崎氏の容赦ない突っ込みが入ってなかなか痛快です。
とはいえ、大概の人にも、部分的に、程度の差こそあれ、煬帝と同じような弱い部分があるのも事実。
江都に逃げ落ちた煬帝が、皇后にらしからぬ弱気な発言をしたところは、若干同情してしまいました。
悪い意味で人間味のある人だったのかなと思います。

 著者の宮崎氏は、中国史を読んでいるとしばしば参考文献などに出てくるその道の大家。私はこの本で初挑戦でした。
 
 内容的には煬帝のみでなく、その父祖の時代にさかのぼった隋という国をめぐる興亡記を、後代の小説などによらず、史書などにより出来るだけ潤色を加えずに描こうとしたもの。研究書ではないので、物語を読む感覚でサクサク読めます。
 底本は昭和40年刊「隋の煬帝」(人物往来社、中国人物叢書)。それに昭和34年に「史学研究」に掲載された「隋代史雑考」を併録したものです。
 
 実は研究書を期待して買ったので、本編の物語部分はちょっと「ふーん……」という感じでした。隋代だけを取り上げて1冊、という本は他になかなかないので、その意味では貴重ですが、昭和40年のものですし、失礼ですがさすがに古いかなー、と思われる部分もある。
 
 でしたが、最終章に至り、まとめに入るにいたってものすごく面白くなってきました。
 それまで人物の運命を中心に語られてきたいろいろな事柄が、違う光を当てられて輝きだすというか。
 また併録の「隋代史雑考」が面白い!四篇あって、どれも割と細かいテーマなのですが、論旨がすっきりしていて分かりやすい。堪能いたしました。

 その部分でポイント復活、買って悔いなし!という感じです。
 概説書なども読んでバランスを取ったほうが良いと思いますが、隋に興味があれば面白いのでは。
 
 

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