「正しい戦争」は本当にあるのか の感想

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タイトル「正しい戦争」は本当にあるのか
発売日販売日未定
製作者藤原 帰一
販売元ロッキング・オン
JANコード9784860520311
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 政治 » 国際政治情勢

購入者の感想

 本書の特徴の一つは、国際政治の本質を、難解なタームに頼ることなく極めて簡潔に説明してくれていることだ。藤原さんによれば、宗教的対立に根ざした中世の「正戦」は歯止めがきかず悲惨なものになりがちだった反省から、近代に入りリアリズムに基づいた戦争観が主流になってきた。しかし、戦争を制限する国際法規などが生まれ、次第に戦争が「違法化」されるようになると、戦争を理念としては否定するが、そのために「平和を乱した敵」への「制裁」としての戦争を徹底してして行うという、アメリカのような国が生まれてくる。これは一種の中世的な「正戦論」への回帰で、最近のアメリカの軍事行動が「何でもあり」で歯止めの効かないものになりがちなのはそのためだ、というわけだ。教科書的な説明によって、現在の国際情勢を歴史的な流れの中にきちんと位置づけてしまう手さばきは見事だ。 
 本書のもう一つの特徴は、あくまでも現実主義な立場から平和の可能性を追求しよう、という立場に貫かれている点だ。藤原さんは現代の戦争について常にリアルかつシニカル見方をしており、平和維持のために最小限の武力は必要だという立場から自衛隊のPKO参加を支持してもいる。しかし彼はそれと同時に、どう考えても不合理としか言いようのない政治決定によって、アフガンやイラクで多くの血が流されたことについて強い憤りを示してもいる。そういう「冷めた頭と暖かいハート」によって、一見「現実的な」立場からアメリカの対イラク戦争を支持したり、核さえ持てば日本は安全になると思い込んだりしている人々の議論の「非現実性」が一つづつ暴かれており、読んでいて非常に痛快だ。
 本書はいわば「常識ある大人の理屈によって書かれた戦争批判本」である。そのバランス感覚はむしろかつての高坂正尭さんなんかに近いものがあるんじゃないだろうか。

テレビで政治家や政治評論家の煽るだけで
何の内容もない議論をみるよりも、この本を
まず読んでみて政治をどうみるかの視野を
得ることをしてみることを始めてはどうかと思う。
対談した著作で藤原氏の評価をするのはあまりに
無意味。0

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