なりきる すてる ととのえる (PHP文庫) の感想

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参照データ

タイトルなりきる すてる ととのえる (PHP文庫)
発売日2015-04-03
製作者釈 徹宗
販売元PHP研究所
JANコード9784569763361
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 倫理学・道徳 » 倫理学入門

購入者の感想

本書は、『維摩経(ゆいまきょう)』のエッセンスを現代語訳したものです。それも、堅苦しい現代語訳ではなく、私たちが普段会話をしているような、やさしい文体で綴られています。

さて、その『維摩経』とは、維摩居士(ゆいまこじ)について説かれたお経です。維摩居士の「居士」というのは、在家の仏教信者のことです。ですから『維摩経』とは、維摩という在家信者について説かれたお経です。

この維摩さん、在家信者ながら、非常に仏教に精通した人で、出家しているお釈迦様の弟子達と互角に仏教論争ができるほどの人なのです。

本書によると『維摩経』は、仏教の「空」の理論について分かりやすく説かれた経典だということがわかります。「空」とは、ひらたく言えば「とらわれない心」だと思います。

私が本書の中で心に残った言葉は、

「大乗仏教は、世俗の中に咲く華といった趣があります。世俗に埋没してはいけませんが、だからといって世俗を嫌悪したりバカにしたりしてはいけません。聖なる世界は俗なる世界から離れてあるのではありません」(106ページ)

「そして、この経典における最大の山場は「不ニの法門」が論じられる場面でしょう。互いに相反する概念が、実は別々に存在するものではなく、相互依存として成立していることを教えてくれます」(206ページ)

「生と滅、垢と浄、善と悪、罪と福、世間と出世間、我と無我、迷いと涅槃、煩悩と菩提などなど、これらは互いに補い合って成り立っている。ちょっと衝撃じゃありませんか?」(206ページ)

などです。

私は本書を読んで、『維摩経』というお経は、維摩さんという在家信者の存在を通じて、現代に生きる私たちに「とらわれない心」を教えてくれているのだなと、感じました。

苦悩に満ちた社会、ストレスに満ちた現代社会にあって、本書は一服の清涼剤になっている。という感想をいだきました。

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