欧州のエネルギーシフト (岩波新書) の感想

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タイトル欧州のエネルギーシフト (岩波新書)
発売日販売日未定
製作者脇阪 紀行
販売元岩波書店
JANコード9784004313700
カテゴリジャンル別 » 科学・テクノロジー » エネルギー » 一般

購入者の感想

本書の中で「エネルギー・デモクラシー」という言葉が使われている。本書を読んで私は、ドイツに限らず、イタリアでもスイスでもデンマークでも、着実に脱原発への道を歩み始めた国々では、エネルギー政策に関しても、きちんとしたデモクラシーが機能していることを知った。

これに比べて依然として原発への依存を改めようとしないフランスの状況はどうか。この5月に就任したばかりのオランド新大統領のエネルギー政策のスポークスマン役を務めるフランソワ・ブロッツ仏下院議員によれば、
> 国民の声を聞いてエネルギー政策を決める努力がこれまでほとんどなかった
ということだ。(P54)
また著者も、これまでのフランスのエネルギー政策に関して、
> 原爆と原発を支えに、祖国の輝ける栄光を誇示しようという
> ナショナルな心情を読み取ることができよう。(P47)
> 原発への傾倒は、理工系のエリート人脈の存在ともかかわりがあるのではないか。(P48)
> 日本に似たムラ構造が存在する可能性を見てしまう。(P49)
等と書いている。
要は、これまでのフランスのエネルギー政策では、一般大衆が参加する健全なデモクラシーが機能しておらず、一部のエリート層による中央集権的なエネルギー独裁体制が、かの国における原発の推進を可能にして来ということだ。

本書ではあまり触れられていないが、現在に至るまでの我が国のエネルギー政策もまた、フランスと同様な独裁&独占的なものだったことは言うまでもあるまい。自民党の有力政治家の石原伸晃は、原発に関するイタリアの国民投票の結果を「集団ヒステリー」と呼んではばからないし、そもそも我が国の原発開発の歴史を振り返れば、原発の導入は正力松太郎や中曽根康弘などの政治家・財界人の権力欲を満たすための道具として日本に持ち込まれたものだった(詳細は、山岡淳一郎『

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