日本人へ リーダー篇 (文春新書) の感想
参照データ
タイトル | 日本人へ リーダー篇 (文春新書) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 塩野 七生 |
販売元 | 文藝春秋 |
JANコード | 9784166607525 |
カテゴリ | 文学・評論 » エッセー・随筆 » 著者別 » さ行の著者 |
購入者の感想
著者の歴史物をはじめほとんどの著作を読んできた塩野ファンです。
ローマ時代やルネッサンス時代の人々の言葉や挿話あるいはイタリア及び西欧の人々の考え方を土台にした本書におけるリーダー論や国家論は、ピンポイント的にはなるほどとうなずけるものが多いです。
その反面、これだけでリーダーを論じられるのだったら世話は無いという感じがします。つまり、ピンポイントではなく大局を見たリーダー論にはなっていないということです。ましてや、それを国家論というより大きな論点として拡張した場合には、それなりにより大きな視野に立つべきでしょう。現在の複雑な日本及び世界の政治情勢はローマ時代やルネッサンス期イタリアなどの限られた歴史的土台で論じられるものではありません。
その意味では、ハルバースタムの「ベスト&ブライテスト」、「覇者の驕り」、「ザ・コールデスト・ウインター」、「静かなる戦争」などの著作の方がはるかに意味があります。ハルバースタムはリーダー論を掲げて「リーダーとは何か、リーダーシップとは何か」と言っているわけではありません。読者が読み進める中で自ずから深く感じ取るものです。
世の中にはいろいろなハウツーものの役に立たないリーダー本がはびこっています。本書は、そのようなハウツーものとは異なり、より含蓄のある読み物として楽しめますが、それでも日本人へ向けたリーダー論として大きく看板を掲げるのはどうかと思います。
敬愛する塩野さん、あなたを持ちあげる人々が大勢居ても大御所にはならないで下さい。「己の能力の限界を知る」ということは大切です。塩野流歴史観を現代国家論にまで拡張して講演して回ったりするのは、日本の一部の政治家に利用されるだけのことです(利用されていることに気付かないのであれば、もっと困ったことです)。
「わたしたちは、あなたを尊敬したくてウズウズしているのです。その期待を裏切らないでください。」
ローマ時代やルネッサンス時代の人々の言葉や挿話あるいはイタリア及び西欧の人々の考え方を土台にした本書におけるリーダー論や国家論は、ピンポイント的にはなるほどとうなずけるものが多いです。
その反面、これだけでリーダーを論じられるのだったら世話は無いという感じがします。つまり、ピンポイントではなく大局を見たリーダー論にはなっていないということです。ましてや、それを国家論というより大きな論点として拡張した場合には、それなりにより大きな視野に立つべきでしょう。現在の複雑な日本及び世界の政治情勢はローマ時代やルネッサンス期イタリアなどの限られた歴史的土台で論じられるものではありません。
その意味では、ハルバースタムの「ベスト&ブライテスト」、「覇者の驕り」、「ザ・コールデスト・ウインター」、「静かなる戦争」などの著作の方がはるかに意味があります。ハルバースタムはリーダー論を掲げて「リーダーとは何か、リーダーシップとは何か」と言っているわけではありません。読者が読み進める中で自ずから深く感じ取るものです。
世の中にはいろいろなハウツーものの役に立たないリーダー本がはびこっています。本書は、そのようなハウツーものとは異なり、より含蓄のある読み物として楽しめますが、それでも日本人へ向けたリーダー論として大きく看板を掲げるのはどうかと思います。
敬愛する塩野さん、あなたを持ちあげる人々が大勢居ても大御所にはならないで下さい。「己の能力の限界を知る」ということは大切です。塩野流歴史観を現代国家論にまで拡張して講演して回ったりするのは、日本の一部の政治家に利用されるだけのことです(利用されていることに気付かないのであれば、もっと困ったことです)。
「わたしたちは、あなたを尊敬したくてウズウズしているのです。その期待を裏切らないでください。」