ヨーロッパの電力・ガス市場 電力システム改革の真実 の感想
参照データ
タイトル | ヨーロッパの電力・ガス市場 電力システム改革の真実 |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | トマ・ヴェラン |
販売元 | 日本評論社 |
JANコード | 9784535557475 |
カテゴリ | ジャンル別 » ビジネス・経済 » 産業研究 » 資源・エネルギー |
購入者の感想
一言でいうなら、エネルギーの哲学書であり実務書である。この本は、フランス経済でも最も活発な部門のひとつとなっているエネルギー市場に関する入門ゼミ書として出版されている。エネルギー部門の機能をうまく把握し分析して、次の一手への思考の枠組みを与えてくれるような内容。
著者は大学で教えるだけでなく、送電会社ディレクターとして職務で実務的にエネルギーに携わってきた方だという。理論的な基準や概念との対立軸で存在する目の前にある現実、そして自由化がもたらした産業構造への大きな動きとして経済、司法、政治、歴史、地理などさまざまな切り口でのデータが簡潔にわかりやすく示してある。また、産業構造の変化とともに、政府による介入と各プレイヤーのフィロソフィーがどのように変化してきたか、その教訓が各章にわたって丁寧に綴られている。
EUにとって自由化とは、統一市場の実現というフィロソフィーの下の壮大なプロジェクトの一環なのだ。まだ発展途上ということだが、では改革の評価にはどのような視点が求められるのか。価格の上昇下降に捉われるのではなく、「勝ち組」「負け組」勝敗の力学を精密に再構成する必要があるとしている。発電事業者、生産者、消費者、株主、インターフェースを担う業種、コンサルタント・弁護士など専門家、既存独占企業の従業員、技術者...。
日本が今後10年から15年かけて電力システム改革に取り組み、ガスやその他の燃料を含むエネルギー全体の新たな市場デザインを構築するための多くの示唆が含まれている本であると感じた。
著者は大学で教えるだけでなく、送電会社ディレクターとして職務で実務的にエネルギーに携わってきた方だという。理論的な基準や概念との対立軸で存在する目の前にある現実、そして自由化がもたらした産業構造への大きな動きとして経済、司法、政治、歴史、地理などさまざまな切り口でのデータが簡潔にわかりやすく示してある。また、産業構造の変化とともに、政府による介入と各プレイヤーのフィロソフィーがどのように変化してきたか、その教訓が各章にわたって丁寧に綴られている。
EUにとって自由化とは、統一市場の実現というフィロソフィーの下の壮大なプロジェクトの一環なのだ。まだ発展途上ということだが、では改革の評価にはどのような視点が求められるのか。価格の上昇下降に捉われるのではなく、「勝ち組」「負け組」勝敗の力学を精密に再構成する必要があるとしている。発電事業者、生産者、消費者、株主、インターフェースを担う業種、コンサルタント・弁護士など専門家、既存独占企業の従業員、技術者...。
日本が今後10年から15年かけて電力システム改革に取り組み、ガスやその他の燃料を含むエネルギー全体の新たな市場デザインを構築するための多くの示唆が含まれている本であると感じた。