小林清親 東京名所図 (謎解き浮世絵叢書) の感想

アマゾンで購入する

参照データ

タイトル小林清親 東京名所図 (謎解き浮世絵叢書)
発売日販売日未定
製作者桑山 童奈
販売元二玄社
JANコード9784544212075
カテゴリジャンル別 » アート・建築・デザイン » 日本の伝統文化 » 浮世絵・絵巻物

購入者の感想

町田市立国際版画美術館監修に依る、小林清親《東京名所図》の作品集。
小林清親と言えば、月岡芳年、豊原国周と並んで、明治時代を代表する「最後の浮世絵師」と言われ、日本古来の伝統と明治時代のモダンさを併せ持つ独特な世界を描いた画家である。
本書はこうした清親の世界を余す事無く堪能出来ると同時に、明治時代の東京の姿を垣間見る事が出来る著書として非常に優れた仕上がりとなっている。

本書では全部で30の作品を収蔵しており、その一つ一つについて全図と拡大図、また今現在の写真、更には当時の古地図と現在の地図を紹介しており、実に丁寧な編集をしているのが際立っていた。
特に、現在の地図については「恐らく清親がここからの景色を描いたであろう」という推定の基に丸印を付ける等、中々面白い工夫も見られるし、文章も丁寧で解り易く、然もカラー図版が極めて良質である。
清親の愛好家は勿論の事、当時の景観に興味のある方にも是非お勧めしたいと思う。

尚、小林清親と言えばこうした名所図と同時に風刺画でも才能を発揮した画家である。
さすがに人物の捉え方、その表情の豊かさ等は描かれた人々が単に名所のエキストラでは無いという事も実感出来、非常に興味深く感じられたと同時に大きな収穫でもあった。

因みに明るく活気に溢れた作品も、或いは少し寂しさを感じるような作品も、どれをとっても素晴らしいので甲乙付けがたいが、個人的には《両国焼跡》が強く印象に残った。
僅かな建物を残すのみとなった広大な焼け野原に黒いシルエットとして描かれた多くの通行人がぼんやりと描かれており、その寂莫感は胸に迫って来るものがある。

清親の瀟洒な世界を存分に味わえる良書なので、皆様も是非とも本書を手に取って頂きたいと思う。
きっとお気に入りの作品に出逢える筈である。

あなたの感想と評価

コメント欄

関連商品の価格と中古

小林清親 東京名所図 (謎解き浮世絵叢書)

アマゾンで購入する
二玄社から発売された桑山 童奈の小林清親 東京名所図 (謎解き浮世絵叢書)(JAN:9784544212075)の感想と評価
2017 - copyright© みんこみゅ - アマゾン商品の感想と評価 all rights reserved.