からごころ - 日本精神の逆説 (中公文庫) の感想
参照データ
タイトル | からごころ - 日本精神の逆説 (中公文庫) |
発売日 | 2014-06-21 |
製作者 | 長谷川 三千子 |
販売元 | 中央公論新社 |
JANコード | 9784122059641 |
カテゴリ | ジャンル別 » 人文・思想 » 哲学・思想 » 哲学 |
購入者の感想
女性哲学者が、本居宣長の言うところの「漢意」を明快に斬って「日本人」のアイデンティティを論じた表題作ほか、1980年代初頭に著した論文集。その論旨は小気味いいほど明快である。
「からごころ」を例にとると、漢字という表意文字を借りて古代の日本人は日本語を作り上げたが、その中に当人たちが意識しないまま「中国文化」を入れている。言語学的な説明から始まり、明治時代に「文明開化」と称した西洋化を論じ、つまりは「アメリカ属国化」を嘆いているのではないだろうか。
他にも、「細雪」の女性像を読み込むことで「やまとごころ」を論じ、原爆文学「黒い雨」を語り戦後の「敵の存在」の消失、あるいは無視を語る。その筆致は力強く、数学的に構築されている。
「からごころ」を例にとると、漢字という表意文字を借りて古代の日本人は日本語を作り上げたが、その中に当人たちが意識しないまま「中国文化」を入れている。言語学的な説明から始まり、明治時代に「文明開化」と称した西洋化を論じ、つまりは「アメリカ属国化」を嘆いているのではないだろうか。
他にも、「細雪」の女性像を読み込むことで「やまとごころ」を論じ、原爆文学「黒い雨」を語り戦後の「敵の存在」の消失、あるいは無視を語る。その筆致は力強く、数学的に構築されている。