ブラヴォー・ツー・ゼロ―SAS兵士が語る湾岸戦争の壮絶な記録 (ハヤカワ文庫NF) の感想

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参照データ

タイトルブラヴォー・ツー・ゼロ―SAS兵士が語る湾岸戦争の壮絶な記録 (ハヤカワ文庫NF)
発売日販売日未定
製作者アンディ マクナブ
販売元早川書房
JANコード9784150502423
カテゴリ »  » ジャンル別 » 文学・評論

購入者の感想

要するに、失敗したミッションの一部始終を書いた本である。しかし「貴重な教訓は、むしろ失敗から得られる」わけで、メチャメチャ面白い。

本書口絵に、太い黒ベタで目を隠された著者や同僚の写真が載っている。無精ひげやダサい服装がむさ苦しい。SASは敵地潜入の一週間前から風呂に入らない。理由は本書冒頭に出てくるので読んでください。むさ苦しい身なりにも全て理由がある。経験と、考え抜かれたプランの結果、彼らは映画に登場するカッコイイ特殊部隊とはかけ離れたダサい格好で戦うのだ。

本書では、彼らSASの行動の理由や目的を、何の知識もない素人にも理解できるよう、懇切丁寧な説明がしてある。しかもその説明が理詰めで面白い。低体温症の理屈と、彼らが実際に遭遇した大寒波でどんな肉体症状か出たかの描写など、非常に秀逸。武器類の説明も面白く、補給のないゲリラ戦での使い方など類書にはない。このスタンスは終始変わらず、捕虜となって拷問を受ける際も、理屈と実際が淡々と述べられる。恐ろしい暴力。それに無言で立ち向かう著者の意志。凄い。

著者は学歴皆無で16歳で陸軍に入った元不良少年。しかし本書の面白さは大作家にも全然負けない。また理知的だ。SASの厳しい訓練と経験が素晴らしい洞察力と描写力を著者に与えたのだ。

何より素晴らしいのは、彼らの「意志」力は生まれつきではなく訓練の成果であることだ。人間はここまで強くなれる可能性がある、ということ(私だってきっと)。そして、どんなに厳しい状況でも「仲間」と苦しさを分かち合うことができれば、もっと強くなれる。刑務所での仲間たちとの描写は本当に泣かせる。

じつに恐ろしい内容の本で、読むのが辛くなる部分もあるけど、私は強く勇気づけられた。本書は何百年経っても古くならないはずだ。人類普遍の価値を描いた、輝かしい文献だからだ。0

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