すべてはモテるためである (文庫ぎんが堂) の感想

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参照データ

タイトルすべてはモテるためである (文庫ぎんが堂)
発売日販売日未定
製作者二村 ヒトシ
販売元イースト・プレス
JANコード9784781670829
カテゴリ » ジャンル別 » 人文・思想 » 哲学・思想

購入者の感想

社会人になりたての20年前に女性にモテたくて購入しました。
当時は兎に角たくさんの女性にモテたい願望がありました。

本書は、冒頭に自分の立ち位置(自己評価と現実のギャップ)と
自分の願望を明確にする課題を突きつけます。これを考えることにより
モテることもそうですが、人生設計の絵を描く上でも、とても参考になりました。

本書に書かれていること理解した上で、女性と同じ土俵に立ち、キモチワルくないように接し、
より多くの女性と仲良くなることにより自己の女性像を強くし、更なる良い女性と仲良くなるという
実践を繰り返し、実際モテるようになりました。
当時は女性と仲良くなれるけど良い人で終わるような友人にこの本をプレセントしていました。
(今考えると、良かれと思ってやってましたが相当お節介だったろうな)

で、ここからが本題です。モテるようになった後、初めは凄く楽しくて人生最高って感じだったのですが
10年くらいすると全く面白く無くなってしまったのです。
モテるということは、相手の心の隙間から心の中に入り込み相手の人生を自分のことのように体験する
共感行為です。好きな相手と喜怒哀楽も自分のことのように共有できる関係になれば最高に楽しいひとときを過ごせます。

しかし、この行為はとても心が疲弊していくのです。もちろん修羅場に遭遇するという行動的なストレスもありますが
相手の人生の重みを背負うということが、自分の器では処理出来なくなるのです。
更に別れる(捨てられる)時には自分中の相手の人生をごっそり削り取られるような苦痛を受けます。

今回たまたま本書が復刻したことを知り、懐かしくもあり、読み返してみると、なんと「第5章モテてみた後で考えたこと」
なるものが加筆されているではありませんか!モテた後、苦悩しているのが自分だけじゃないんだと確認できて安心しました。
昔読んだことがある人も、この5章だけでも読む価値があると思います。

まずこの本には、モテるために必要な情報は書いてないので、何も手に入らない。

そればかりかネガティブに内容に当てらて、心労を負うことになる。

お前はキモいからダメなんだとか、キモいのにエラソーにするな、からはじまり、ラーメンの知識を自慢げに披露するなとか、お前みたいに母親としかろくに話したことないやつはキャバクラで女に慣れろとか、お前みたいなキモいやつはナンパをするなだとか、一方的かつ偏った決めつけと否定的なメッセージにさんざん当てられることになる。
で、読者が惨めで自己嫌悪でいっぱいになってグラついたところに、ちょっとした気遣いや思いやりで寄りそう姿勢を見せて、頼らせるっていうような手法である。飲み屋で部下をイジリ倒すパワハラ・モラハラ上司と基本的には同じやり口だろう。
ただ、さすがに本にするだけあって、やり口は巧妙である。あけすけに言っておいて、それでも寄りそっているように感じさせるバランス感覚みたいなものは感じさせる。といっても、細木数子や江原啓之などスピ系で一世を風靡した連中ほどのオーラや雰囲気もないし、太さも中途半端。占星術のような思想的支柱も皆無である。結局は、テリー伊藤を二回りほど小さくしたような感じである。

著者の経歴を見ると、港区生まれで慶應幼稚舎からのぼんであり、劇団立ち上げて大学を中退したが、そっち方面では芽がでず、AV業界に堕ちた、という人物である。パワハラとモラハラを駆使する人心掌握術は、劇団時代に身につけて、AV女優やキャバ嬢などメンヘラ相手に磨いてきたものだろうか。

確かに、自尊心が底まで落ちきっている売れない劇団員、AV女優、キャバ嬢などのメンヘラ相手には、威力的な態度でディスった後に思いやりを見せて包んでやる、という手法は一番有効かもしれない。しかし、それはあくまでメンヘラ相手にのみ有効な特殊なやり方であり、基本的に不健全な手法であろう。それを健全な一般女性にも有効なモテと考えるのはとんでもない間違いである。
しかし、著者はこの、メンヘラへのハラスメントと優しさによる揺さぶり術をモテや口説きと勘違いしてしまっているらしい。それが本書の一番の問題であろう。

 「なぜモテないかというと、それはあなたがキモチワルいからでしょう。」
 冒頭のこのテーマが最後まで貫かれているのが素晴らしいと思う。モテるためにこの本を読もうとする読者を「その精神が既に負けている」とバッサリ。

 とは言え別に説教臭いわけではない。「そもそもどういうふうにモテたいのか」から始まる著者の語り口は、やや散文気味ではあるものの、選択肢や分類を提示することによって読者の理解を勧めるよう工夫がされている。その理由は、「現在の俺(筆者)自身へ向けられた説教であり自戒」だからこそだろう。

 本書は、第一章と第二章が理論編、第三章と第四章が実践編とでも言うべき構成になっているが、前半二章は繰り返し読みたい。どちらも恋愛するまえに把握して置かなければいけない事柄、平たく言えば「あなたはどんな風にキモチワルいのか、そのキモチワルさはどこから来ているのか」について解説した章。キモチワルさの源泉は自意識過剰によるもので、そのためには自分が一人でも平気な、「自分で選んだ居場所」を見つける、という主張はシンプルだが同意見。

 文庫版は、本書が出版された後でモテだした著者による「モテてみた後で考えてみたこと」と「[特別対談]國分浩一郎二村ヒトシ」を加筆。人を欲するという気持ちは生まれ育つ環境で培われるもの、という主張を始め、恋とは何か・愛とは何かを語る対談はとにかく面白い。個人的には、コンプレックスなど本人を苦しめている「心の穴」をジョジョになぞらえていたのがツボ。妙に納得。

 本書はモテない男性、モテたい必読の書。要するに全男性必読。女性は読んでもいいけど、同じ著者による「なぜあなたは「愛してくれない人」を好きになるのか」の方が読みやすいと思う。

第五章の以下の一節は白眉。そのまま引用する。
「子どもであることのほうが変化の余地があって、大人になっちゃうと人間が硬直するんじゃないかと考えがちだが、そんなことはない。
子どもであり続けることの方が、「がんこ」で「自分を守っている」のである。
大人だということは、「もうそんなに長い時間は残ってないんだから、なるべく他人を幸せにしよう。」と考えることだ。」

他の恋愛指南書にあるような「まずは声をかけろ」「こういう女が落ちやすい」というお決まりの(そして役に立たない)説教はこの本にはありません。
まず第1部では、「なんのためにモテたいのか、どのようにモテたいのか」「自分がモテない理由は何なのか」といった問いかけを読者に提示し、自己についての徹底的な掘り下げを行っています。続いて第2部では、第1部で浮かび上がった問題に対して、「キャバクラへ修行に行く」などの改善案を提示しています。氏独特の話し言葉的な文章でデコレーションされてはいますが、要はビジネス本の如く「恋愛」というものを冷徹に捉え、モテない根本原因の発見と、それに対する最も効果的な対策を実行せよ、と本書は言っているのです。
この着眼点が非常に新鮮で楽しい。とかく「恋愛」というと、男と女の複雑な心理戦のように扱われますが、しょせん人と人とのコミュニケーションの上で成り立つものである以上、「ビジネス」と何ら変わりありません。押し付けがましい指南をすることなく、具体的な行動は読者に任せる、そのような一歩引いたスタイルがなかなかに気持ちのいい良書です。0

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