ねむれ巴里 (中公文庫) の感想

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参照データ

タイトルねむれ巴里 (中公文庫)
発売日販売日未定
製作者金子 光晴
販売元中央公論新社
JANコード9784122003996
カテゴリ文学・評論 » エッセー・随筆 » 日記・書簡 » 日本文学

購入者の感想

不良詩人金子光晴が、35歳頃、パリで過ごした2年間の記録。

冒頭、船でパリに向かっている中に衝撃的なシーンがある。

<僕の寝ている下の藁布団のベッドで譚嬢は、しずかにねむっていた。船に馴れて、船酔いに苦しんでいるものはなかった。僕は、からだをかがみこむようにして、彼女の寝顔をしばらく眺めていたが、腹の割れ目から手を入れて、彼女のからだをさわった。じっとりからだが汗ばんでいた。腹のほうから、背のほうをさぐってゆくと、小高くふくれあがった肛門らしいものをさぐりあてた。その手を引きぬいて、指を鼻にかざすと、日本人とすこしも変わらない、強い糞臭がした。同糞同臭だとおもうと、「お手々つなげば、世界は一つ」というフランスの詩王ポール・フォールの小唄の一説がおもいだされて、可笑しかった。>

時代は、二大戦間期の、中国で反日運動が盛り上がっていた頃である。この時期に、中国人の女の肛門をまさぐって、こんなことをつぶやいている詩人の胆力にあきれ驚かされる。われわれは普段、「世界が一つ」でない理由を臆病に並べ立てがちであるが、糞臭なんていうしょうもないことからでも世界は一つであることは感じることができるのかもしれない。

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