Brian Setzer: Guitar Legendary Licks の感想

表紙の写真がブライアン・セッツァーなので、彼が自ら演奏や解説をしているように思うかもしれませんが、実際はギタリスト＆ギター講師のArthur Rotfeldによる一冊です。Rotfeldはこれまでカーク・ハメットやジョー・サトリアーニの教則本を手がけるなど、いわゆるテクニカル系のギタリストなのですが、テクニックはあるけど単調で機械的というありがちな演奏ではなく、これぞロカビリーというホットな演奏を披露しています。

基本構成は曲をイントロやバッキング、ソロなど各パートごとに分け、それぞれ楽譜と演奏を収録しています。完璧にブライアンのギターを再現しているわけではありませんが、他の教則本とは比べものにならないほど肉迫しており、ロカビリーだけでなくジャズやカントリーからの影響が強いブライアンのギターは、ロカビリーギタリストよりもむしろRotfeldのようにテクニカルなギタリストのほうが、よりその神髄に近づけるのではないかと思いました。すべての曲は別途にカラオケ演奏も収められているので、気軽にジャムセッションを楽しめるのも嬉しいです。

また、本書にはブライアンが曲中で使うコードの一覧が掲載されており、彼のサウンドを研究しやすくなっています。コードごとのスケールにも触れているので、単に曲をマスターするだけでなく、ネオロカの教則本的な役割も果たしてくれます。コードとスケールを覚えてフレーズを組み合わせれば、アドリブのスキルも高まるのではないでしょうか。ブライアンのファンはもちろん、ロカビリーをマスターしたい人にお勧めの一冊です。