北方領土交渉秘録―失われた五度の機会 (新潮文庫) の感想

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参照データ

タイトル北方領土交渉秘録―失われた五度の機会 (新潮文庫)
発売日販売日未定
製作者東郷 和彦
販売元新潮社
JANコード9784101348810
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 政治 » 政治入門

購入者の感想

副題:失われた五度の機会

ゴルバチョフ、エリティン、プーチンの各大統領時代における対露関係の中での平和条約締結と北方領土返還交渉のまさに当事者として、また鈴木宗男氏、佐藤優氏の所謂国策調査逮捕事件のある意味共犯者とも名指しされた東郷氏の回顧録とでも言える書である。
当然ながら公務員としての守秘義務と外交機密と言う文脈の中で語れない部分も多いのであろうが、歴史的な動きは非常に生き生きと書かれているのだと感じる。
東郷氏の生い立ちはまさにサラブレッドと称されるほどの名家であり、外交官僚家系と言っても差し支えないである。それゆえか、文章自体は非常に大人しく、佐藤氏の様な過激さはないし、また特定個人への非難もない。逆にそのために、外交舞台での人間関係のドロドロさも、パワーポリティクスとしての生臭さが表れていないようにも思う。(佐藤氏自身は解説の中で、鳥瞰図的な記述だと言っています)
いずれにしても小泉政権誕生後の進展無き北方領土問題やそれに付随するであろう対露外交の低迷の理由は何か?それは単にロシアスクールと言われる外務官僚とか外務省主流派と言われるアメリカスクール官僚との確執なのか。あるいはそれ以上に大きな何かなのか?東郷氏がソ連課長就任以降に北方領土問題で仕えた歴代の首相は中曽根、宮澤、橋本、小渕、森であるが、領土問題が動こうとしていた時代は橋本、小渕、森のようである。その内の橋本、小渕両氏は急逝されていて当時の首脳会談での秘密交渉などの内容は外交文書の公開を待つしかなく、回顧録等しての心象風景を知るすべもなくなっている。

四島一括返還と四島返還との大きな違いは無い事(若干の時差を生じる返還となるが)が多くの国民に理解されるように東郷氏は願っているのであると感じる。

東郷氏も、解説の項を書いている佐藤氏も東郷氏のオランダ大使辞職後の外国への渡航は「亡命」だと書いているが、もし日本に居たならば佐藤氏や鈴木氏同様に逮捕されたのだろうか? 歴史が今後明らかにしていくのであろう。
2007読了

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