遠野物語 (集英社文庫) の感想

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岩手県の遠野市周辺に伝わる素朴な民話を、格調高い文語体で綴った遠野物語。洗練された文章の力で民話がリアルに感じられますが、内容については他の方々が的確にレビューされていますし、原文は国会図書館のサイトでも公開されていますので、それらをご参考に。
さて、本書ですが、遠野物語、遠野物語拾遺いずれも収録されています。確か前の版では函つきでしたが、今回のものは函無しです。
各頁の上段の余白部分に適宜簡単な解説が付いており、便利なのですが、もともとが伝説をまとめたものであるなら、最小限で良かったのではないかと思います。
使用しているフォントが他の文庫版のものと違い、活字を彷彿とさせる古い感じのもので、遠野物語には非常に似合います。
本書は巻頭に古い遠野の写真が多く配されており、当時の様子を少し窺うことが出来ますが、遠野市は現在でも街から外れると、ふとしたところに同じような光景があります。観光ガイドブックより、本書と飾り気の無い国土地理院地図でも持って訪れると面白い旅になります。ただし、物語が広い範囲のもので、公共交通が少ないので、機動性に富む車かバイクでの訪問がおすすめです。