坂の上の雲 全8巻セット (新装版) (文春文庫) の感想

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タイトル坂の上の雲 全8巻セット (新装版) (文春文庫)
発売日販売日未定
製作者司馬 遼太郎
販売元文藝春秋
JANコード登録されていません
カテゴリ »  » ジャンル別 » 文学・評論

購入者の感想

司馬遼太郎が明治という時代を秋山兄弟と正岡子規の三人を通して描く。

 「人は一生で一事を成せばいい」という好古の言葉のように、情熱的に一事に臨む主人公達。三人だけではない。できたばかりの国の気風なのか、明治の人達の情熱が溢れている。
 司馬と言えばこれという余談のオンパレード。ロシアを説明するのに雷帝ピョードルについて書くあたりはさすが。
 全編を通して読むと敵方のクロパトキンとかロジェンスキーとかもいい味を出していて面白い。日本人もロシア人も有名人から記録を残していた一般人まで途方もない数の登場人物が出てきて、それが物語の血肉になっている。
 
 主人公を秋山兄弟だけにせず子規を加えたのがよかったと思う。世界中を飛び回りたいのにそれができず、人の何倍もやりたいことがあるのに早死にしなければいけない子規。彼と日本史をひっくり返す中心となった真之の交流から、この時代がただ行け行けドンドンではなく、覚悟と能天気を持った良き時代だったように感じた。
 バルチック艦隊との運命の決戦の緊張感。そして「雨の坂」。このエンディングがたまらなく好きだ。

 この作品のテーマは愛国心では断じてないと思う。生きるということそのものがこの作品のテーマなのだと思う。
 大きく広くズシリと深い名作。ドラマで興味を持った人はぜひ。

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