海辺のカフカ (下) (新潮文庫) の感想

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参照データ

タイトル海辺のカフカ (下) (新潮文庫)
発売日販売日未定
製作者村上 春樹
販売元新潮社
JANコード9784101001555
カテゴリ文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 » ま行の著者

購入者の感想

「あの頃は何も考えなくてよかった、と彼は思った。ただそのまんま生きていればよかったんだ。生きている限り、俺はなにものかだった。自然にそうなっていたんだ。でもいつのまにかそうではなくなってしまった。生きることによって、俺はなにものでもなくなってしまった。そいつは変な話だよな。人っていうのは生きるために生まれてくるんじゃないか。そうだろう?それなのに、生きれば生きるほど俺は中身を失っていって、ただの空っぽな人間になっていったみたいだ。」

個性的で、読み始めたら止まらず、読後にいろいろなものを残す作品を名作と呼んでいいとすると、この小説はその条件を満たしている。

テーマは普遍的で、ヒントやモチーフはいろいろなところから借用されている。ギリシャ神話だったり、シェークスピアだったり、それ以外の西洋文学作品であったり、日本の古典であったり、著者自身の過去の作品であったり。

田村カフカ少年がその一部になる図書館という舞台は、様々な思い出や知識の基本を支える記憶が存在する場所として象徴的。一方、もう一方の重要人物のナカタさんにはそれがほとんど無く読むこともできない存在として対比される。現実と異次元の混在。効果的に配置された小道具。よく考えられた個性の登場人物たち。性や暴力といった人間の基本的な欲求もその存在と不可分なものとして絡み合う。音楽。そして、多少のユーモアと皮肉。メタファー。変わっているのに必ずしも意外ではない展開。

たぶん、世界で一番タフな15歳になる旅は、多くの読者に対しても一筋縄ではいかないタフな時間を与えてくれる。変わった小説だが、なかなか面白かった。

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