Oracle Night の感想

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参照データ

タイトルOracle Night
発売日販売日未定
製作者Paul Auster
販売元Faber and Faber
JANコード9780571276523
カテゴリ » 洋書 » Special Features » all foreign books

購入者の感想

本書が本国アメリカで出版されたのが2004年の11月。
その頃、アメリカはどういった状態だったのか。

本書のテーマはズバリ、「罪」と「罪を犯した者への許し」であると思う。

神秘と謎を象徴させる東洋人から入手した青いノートは作家に強烈なインスピレーションを与え、
物語を次々と生み出させる。しかし、その神秘はいつまでもは続かない。やがて、青いノートが
生み出した物語は永遠に未完のまま終焉を迎える。

現実では、「ありきたりな」物語が進行する。まるで昼ドラマのような展開の物語が。

贖罪をテーマにしながら、主人公の友人の葬式が展開されるとき、「神を信じている者は誰もいなかった」
と、宗教をバッサリ切って捨てているところに作家P・オースターの「良心」を感じる(その当時のアメリカ
を思えば)。

そして、「他者の罪をいつまでも許さない者」あるいは「罪を罪とも思わない者」の末路がどうなるのかも
この「物語」では「語られている」。

複雑な構成を持ちながら、物語のメッセージそのものは「熱い」何かを感じる。
そして、そのような「良心」が健在するアメリカという国の大きさを感じる。

神秘。才能。インスピレーション。それよりももっと大切なコト、「騙る」ことではなく、
「語る」こと、あるいは「語られずにはいられないこと」

作家、オースターはその当時そんな思いで本書を上梓したのではないか。
そんな気がしてならない。

実は人は自分の未来を「知って」いるのだ。例え、自分でそれを自覚していないとしても。なぜなら、まさにこの一瞬一瞬を生きることによって、私たちは未来を作りだしているのだから。全て繋がっているのだ。謎めいているけれど謎ではなく、あるべきしてあるもの、それが現実なのだ。Oracle Nightのページを繰るに従って、そんな感覚に、じわじわと静かに浸っていきます。謎めいた、時として幻想的なトーンの底に、人間の強さ、しぶとさががっしりと錨を下ろしています。読み応えのある本です。ただし、注の多さには多少閉口しました。

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Faber and Faberから発売されたPaul AusterのOracle Night(JAN:9780571276523)の感想と評価
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