The New York Trilogy の感想
参照データ
タイトル | The New York Trilogy |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | Paul Auster |
販売元 | Faber and Faber |
JANコード | 9780571276554 |
カテゴリ | » 洋書 » Special Features » all foreign books |
購入者の感想
80年代前半に書かれた、ニューヨークを舞台にしてルースにつながったニューヨーク三部作をすべて所収。真夜中の不思議な間違い電話から生活の位相がずれていってしまう”City of Glass,”ある人物の見張りを依頼された探偵の姿を描いた”Ghosts,”そして失踪した幼なじみの天才の後ろ姿を追う”The Locked Room”の三作品。邦訳は三つの出版社からそれぞれ別に刊行されているようですが、原著は一冊にまとまっています。
オースターには、作家のファンが多いようですが、それもうなずける完成度の高さです。ドン・キホーテや白鯨からの引用など、多少衒学的と言えなくもないですが、とにかく美しい英語で、読者を妖しい世界へといざなってくれます。この三部作で、オースターは繰り返し、見るものと見られるものの関係を突きつめて行きます。自己を形成するためには外から情報を入れなければならない、しかし外からの情報は自分自身ではない、という矛盾を見つめ、自己と周りの境界線の不確かさにチャレンジしていくところが、この作品の醍醐味です。わたしは自我の存在基盤の不安定さについて考えさせられました。それほど長くもなく、読みやすい英語なので、ぜひ原著で読みたい作品です。
オースターには、作家のファンが多いようですが、それもうなずける完成度の高さです。ドン・キホーテや白鯨からの引用など、多少衒学的と言えなくもないですが、とにかく美しい英語で、読者を妖しい世界へといざなってくれます。この三部作で、オースターは繰り返し、見るものと見られるものの関係を突きつめて行きます。自己を形成するためには外から情報を入れなければならない、しかし外からの情報は自分自身ではない、という矛盾を見つめ、自己と周りの境界線の不確かさにチャレンジしていくところが、この作品の醍醐味です。わたしは自我の存在基盤の不安定さについて考えさせられました。それほど長くもなく、読みやすい英語なので、ぜひ原著で読みたい作品です。