さいごの色街 飛田 の感想
参照データ
タイトル | さいごの色街 飛田 |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 井上 理津子 |
販売元 | 筑摩書房 |
JANコード | 9784480818317 |
カテゴリ | ジャンル別 » 社会・政治 » 社会学 » 社会学概論 |
購入者の感想
大阪に生まれ暮らして40年になる私ですら、名前は知っていても足を踏み入れたことのない飛田を10年以上にわたって女性が取材した意欲作である。その地道な努力、ジャーナリスト魂には敬服するが、どうも納得できないことが2つある。
1つは嘘をついての取材方法を明かしていることだ。取材にあたって嘘をつくことは、私はある程度仕方がないと思っている。そうでないと聞き出せないことがあるのは事実だからだ。しかし、その嘘をばらしてどうするつもりか。それをばらすことで、著者は取材対象者とこれから付き合っていくことはできなくなるだろう。そう、著者は自分の興味のまま取材し、取材が終わったらその対象者との関係はどうでもよいと考えているように感じるのだが、いかがだろうか。もしそうだとしたら、それは高慢な態度ではないのか。
もう1つはあとがきで、「飛田に行ってみたいと思う読者がいたとしたら、「おやめください」と申し上げたい。客として、お金を落としにいくならいい。そうでなく、物見にならば、行ってほしくない。そこで生きざるを得ない人たちが、ある意味、一生懸命に暮らしている町だから、邪魔をしてはいけない。」とあるところだ。それは自分でしょう。なぜ、自分はよくて、読者が物見に行くのはダメなのか。自分はジャーナリストだから許されるというのであれば、それもいかがなものかと感じる。
それにしても、ここに登場する人たちの境遇には驚き、ため息が出る。きれいごとではない、こんな現実が未だにあるのだ。
1つは嘘をついての取材方法を明かしていることだ。取材にあたって嘘をつくことは、私はある程度仕方がないと思っている。そうでないと聞き出せないことがあるのは事実だからだ。しかし、その嘘をばらしてどうするつもりか。それをばらすことで、著者は取材対象者とこれから付き合っていくことはできなくなるだろう。そう、著者は自分の興味のまま取材し、取材が終わったらその対象者との関係はどうでもよいと考えているように感じるのだが、いかがだろうか。もしそうだとしたら、それは高慢な態度ではないのか。
もう1つはあとがきで、「飛田に行ってみたいと思う読者がいたとしたら、「おやめください」と申し上げたい。客として、お金を落としにいくならいい。そうでなく、物見にならば、行ってほしくない。そこで生きざるを得ない人たちが、ある意味、一生懸命に暮らしている町だから、邪魔をしてはいけない。」とあるところだ。それは自分でしょう。なぜ、自分はよくて、読者が物見に行くのはダメなのか。自分はジャーナリストだから許されるというのであれば、それもいかがなものかと感じる。
それにしても、ここに登場する人たちの境遇には驚き、ため息が出る。きれいごとではない、こんな現実が未だにあるのだ。