Radiation Hydrodynamics の感想

現代的な輻射流体力学の教科書です。

内容の流れはつぎの通りです。

(1) 最初の２個の章で流体力学とその数値解法を説明しています。
しかし、数値流体力学は他の教科書で勉強したほうが良いでしょう。
数値流体力学で１冊の教科書があるくらいですから。

(2) その後に輻射輸送方程式から出発して、いくつかの近似や、定常解、
座標系の依存性、流体と輻射の相互作用、輝線、偏光に至ります。
このあたりがこの本の良いところです。
記述は現代的で、他の古典的な教科書と比較してわかりやすいです。
説明が簡潔なためコンパクトにまとまっています。
言い換えれば、詳しい解説が必要な場合には、
Foundations of Radiation Hydrodynamics (Dover Books on Physics)や
Radiative Transfer (Dover Books on Physics)などの
有名な教科書を参照しなければならないでしょう。

(3) 最後は数値解法で締めくくっています。
数値解法は１個の章で片付く問題でありません。
この章はオマケという感じですが、
輻射流体のための数値解法全体を外観する役割があります。

全368ページと薄く、コンパクトにまとまっています。
これは良い点なのですが、丁寧な解説は望めないという側面もあります。