わが父塚本邦雄 の感想

とりたててびっくりするようなことが書かれているわけではない。
塚本邦雄人生を､時系列で、淡淡と書く。
しかし肉親だから、にやっとするようなエピソードもあり、
まさに「人間・塚本邦雄」である。

寺山修司との交流、三島との接点……など、文学史というより
子息が書いた評伝といえるだろう。

文章は、こういう本にありがちな持って回った言い方ではなく、
テンポもいいしわかりやすい。

歌人・塚本を知ると言うより、人間・塚本を知る本であろう。
２６００円という定価は致し方ないだろうが、それに見合うだけの内容はある。