帰ってきたヒトラー 下 の感想
参照データ
タイトル | 帰ってきたヒトラー 下 |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | ティムール ヴェルメシュ |
販売元 | 河出書房新社 |
JANコード | 9784309206417 |
カテゴリ | ジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » ドイツ文学 |
購入者の感想
下巻は上巻と一転して、ヒトラーに対して抱く我々の根源的な「恐怖」「不安」との戦いが描かれます。
ヒトラーの秘書役の女の子、大衆新聞、政党との対決です。
そのキーになるのは、「ヒトラー」=「ユダヤ人大量虐殺」=「巨悪」というドイツ人が学習してきた歴史認識です。
ヒトラー自身もこの問題はよく分かっていて、「ユダヤ人は冗談の種にならない」と何度となく発言します。
ヒトラーにとっての「ユダヤ人」は排除されねばならないものであって、この信念は変わりません。
対決は「ユダヤ人大量虐殺」を指摘され、ヒトラーがレトリックで回避していくのですが、「グリメ賞」受賞とネオナチに襲撃され入院するという転機で、ヒトラーに対する評価が「それほど悪くはなかった」と変わっていくのです。
歴史認識は結局「事実」に対する「解釈」なのだとわかります。そして「解釈」は簡単に変わるのだとも。
ヒトラーの秘書役の女の子、大衆新聞、政党との対決です。
そのキーになるのは、「ヒトラー」=「ユダヤ人大量虐殺」=「巨悪」というドイツ人が学習してきた歴史認識です。
ヒトラー自身もこの問題はよく分かっていて、「ユダヤ人は冗談の種にならない」と何度となく発言します。
ヒトラーにとっての「ユダヤ人」は排除されねばならないものであって、この信念は変わりません。
対決は「ユダヤ人大量虐殺」を指摘され、ヒトラーがレトリックで回避していくのですが、「グリメ賞」受賞とネオナチに襲撃され入院するという転機で、ヒトラーに対する評価が「それほど悪くはなかった」と変わっていくのです。
歴史認識は結局「事実」に対する「解釈」なのだとわかります。そして「解釈」は簡単に変わるのだとも。
上下巻通してのレビューを行いたいと思います。
感想を率直に述べれば大変面白かった。笑えるというよりはユニークであり、愉しいといったかんじ。それでいて考えさせられる作品です。
では、考察みたいなものを
ドイツで話題になったころから邦訳を待ち焦がれていたわけですが、注がない(作者の要求による)というところ以外大きな問題は見当たりませんでした。
この作品は端的に言ってヒトラーが蘇る作品なわけですが、日本人にはこの本を楽しむにはハードルが高いかもしれません。
なぜならこの本は紛れもなく現在ドイツ人に読ませるために書かれており、現在のドイツとヒトラーがいたナチスドイツの二つを知っている必要があるからです。
今のドイツが抱えている問題や政党をある程度知っていればそれらが出てきたときの面白さは数十倍になるでしょう。
まぁナチスに関しては映画を見てればわかる程度ですがね。
シュタイナー=命令違反、シュタウフェンベルク=アタッシュケースと言われて理解できるようなら問題ないです。
そんなことを言いつつ、私はこの本を万人におすすめしたいと思います。
それは単なるややブラックなコメディーを読んでほしいというわけではなく、悪の代名詞となったヒトラーについて考えるきっかけになるものだからです。
ヒトラー=悪 というほぼ万国共通の概念はあれど、なぜヒトラーが全否定されるのか?”悪いことばかりでもなかった”のではないか?、それは再来を容認するのか?そういったことを自分の中で考えるところに読みがいがあると思います。
つまり、この本は作品自体のみならず、作品を通して”ヒトラー”という人物を考えるという意味で大変優れた作品であると思います。
続きがほしいとも思いつつ、続きがないことに味がある作品でもあると思いました。0
感想を率直に述べれば大変面白かった。笑えるというよりはユニークであり、愉しいといったかんじ。それでいて考えさせられる作品です。
では、考察みたいなものを
ドイツで話題になったころから邦訳を待ち焦がれていたわけですが、注がない(作者の要求による)というところ以外大きな問題は見当たりませんでした。
この作品は端的に言ってヒトラーが蘇る作品なわけですが、日本人にはこの本を楽しむにはハードルが高いかもしれません。
なぜならこの本は紛れもなく現在ドイツ人に読ませるために書かれており、現在のドイツとヒトラーがいたナチスドイツの二つを知っている必要があるからです。
今のドイツが抱えている問題や政党をある程度知っていればそれらが出てきたときの面白さは数十倍になるでしょう。
まぁナチスに関しては映画を見てればわかる程度ですがね。
シュタイナー=命令違反、シュタウフェンベルク=アタッシュケースと言われて理解できるようなら問題ないです。
そんなことを言いつつ、私はこの本を万人におすすめしたいと思います。
それは単なるややブラックなコメディーを読んでほしいというわけではなく、悪の代名詞となったヒトラーについて考えるきっかけになるものだからです。
ヒトラー=悪 というほぼ万国共通の概念はあれど、なぜヒトラーが全否定されるのか?”悪いことばかりでもなかった”のではないか?、それは再来を容認するのか?そういったことを自分の中で考えるところに読みがいがあると思います。
つまり、この本は作品自体のみならず、作品を通して”ヒトラー”という人物を考えるという意味で大変優れた作品であると思います。
続きがほしいとも思いつつ、続きがないことに味がある作品でもあると思いました。0