幻の「長くつ下のピッピ」 の感想
参照データ
タイトル | 幻の「長くつ下のピッピ」 |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 高畑 勲 |
販売元 | 岩波書店 |
JANコード | 9784000248198 |
カテゴリ | 本 » ジャンル別 » コミック・ラノベ・BL » イラスト集・オフィシャルブック |
購入者の感想
スウェーデンの児童文学「長くつ下のピッピ」のアニメ化の企画が71年に立ち上がり、高畑勲、宮崎駿、小田部羊一といったスタッフを中心に制作が進められるが、原作者の許可が得られずに企画はとん挫した。本書はその幻となったアニメーションの資料集である。
冒頭に実際アニメになっていたらこんな感じだったろうというスチール写真が8点。それから28ページにわたって宮崎駿によるイメージボード、22ページのストーリーボードが掲載。小田部羊一によるキャラクターデザイン、宮崎駿によるキャラクターラフデザインが合わせて24ページ程。
活字資料としては高畑勲のスタッフに向けて書かれた「覚え書き」と絵コンテの前身となる言葉でストーリーを描く「字コンテ」と、相当な分量の資料が掲載されており、日の目を見る事の無かった作品の概要を伝えてくれる。なかでも宮崎駿によるイメージボードは、相変わらず単体の一枚絵として観ても楽しいものになっている。
3名の2014年に語り下ろされたインタビューも掲載されており、本作に取り掛かろうとした当時について詳しく語っている。3人とも東映動画を去った原因として「ホルス」の興行的失敗によって生まれた状況、そして大塚康生も関わったアニメ「ムーミン」の名を挙げている点、興味深い。後に日常生活描写にフォーカスした作品を生み出していくこともふくめ、この企画が3人にとっての転機となっているのだろう。特に宮崎駿については本作の為のロケハンで初めて海外に出た経験がその後の作風に大いに影響を与えたことは想像に難くない。
資料的価値という点からみても、単純にイラスト集として眺めても、大変に素晴らしい一冊である。
冒頭に実際アニメになっていたらこんな感じだったろうというスチール写真が8点。それから28ページにわたって宮崎駿によるイメージボード、22ページのストーリーボードが掲載。小田部羊一によるキャラクターデザイン、宮崎駿によるキャラクターラフデザインが合わせて24ページ程。
活字資料としては高畑勲のスタッフに向けて書かれた「覚え書き」と絵コンテの前身となる言葉でストーリーを描く「字コンテ」と、相当な分量の資料が掲載されており、日の目を見る事の無かった作品の概要を伝えてくれる。なかでも宮崎駿によるイメージボードは、相変わらず単体の一枚絵として観ても楽しいものになっている。
3名の2014年に語り下ろされたインタビューも掲載されており、本作に取り掛かろうとした当時について詳しく語っている。3人とも東映動画を去った原因として「ホルス」の興行的失敗によって生まれた状況、そして大塚康生も関わったアニメ「ムーミン」の名を挙げている点、興味深い。後に日常生活描写にフォーカスした作品を生み出していくこともふくめ、この企画が3人にとっての転機となっているのだろう。特に宮崎駿については本作の為のロケハンで初めて海外に出た経験がその後の作風に大いに影響を与えたことは想像に難くない。
資料的価値という点からみても、単純にイラスト集として眺めても、大変に素晴らしい一冊である。