社会的ジレンマ―「環境破壊」から「いじめ」まで (PHP新書) の感想

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参照データ

タイトル社会的ジレンマ―「環境破壊」から「いじめ」まで (PHP新書)
発売日販売日未定
製作者山岸 俊男
販売元PHP研究所
JANコード9784569611747
カテゴリ » ジャンル別 » 人文・思想 » 心理学

購入者の感想

個人レベルでは「いいこと」であっても、社会的レベルでは「わるいこと」になってしまう。
社会的ジレンマとは、ひとことでいえばそういうことである。

たとえば、駅前に自転車を駐輪するのは個人にとっては「便利でいいこと」であるが、
社会レベルでは「駅前の交通を阻害するわるいこと」である。

こうした矛盾を解決するのが、本書の著者が研究している社会学である。

本書を読んでいて衝撃を受けたのは、
「お人よしの善人、惜しみなく与える聖人のような人」が社会レベルではかえって害悪になりうる(かも知れない)、ということである。

それはなぜか。
筆者によると、世の中の大多数の人は「相手がやってくれるなら、自分もやってあげる」といういわゆる「ギブアンドテイク」の人、もしくは「みんながそうなら自分もそうする」という人である。
そして、割合としては少数ながら「相手にかかわらずとにかく自分はやってあげちゃう」お人よしと、「自分はしてもらうだけで一切何もしてあげない」という困った人がいる。

この時、もし社会に「ギブアンドテイク」の人と「お人よし」の人しかいなければ何の問題もない。世の中はうまくいくだろう。
そして、「ギブアンドテイク」の人と「困った人」の場合も、実はあまり問題がないのだ。
多数派の「ギブアンドテイク」の人は「お返し」がなければ何もしてあげなくなるので、最終的には「困った人」を囲い込み、排除することができる。

ところが、「ギブアンドテイク」と「お人よし」と「困った人」が揃うとどうなるのか、
端的にいって「お人よし」の人が「困った人」から搾取されることになるので、「困った人」たちが社会に居場所を獲得してしまうのである。

「困った人」たちの基本原則は、いつでも「自分さえよければいい」だ。
そして社会的ジレンマというのは、基本的に彼らが引き起こす問題である。
そのため、「お人よし」の存在が社会的ジレンマの解決に足を引っ張ってしまうのである。

これは実に興味深いことだ。

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