日本がもっと好きになる神道と仏教の話 (PHP文庫) の感想

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参照データ

タイトル日本がもっと好きになる神道と仏教の話 (PHP文庫)
発売日2014-04-03
製作者竹田 恒泰
販売元PHP研究所
JANコード9784569760919
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 宗教 » 宗教入門

購入者の感想

 明治天皇の血筋を引き、神道に縁の深い竹田氏と、仏教徒として難行を潜り抜けて来た住職である塩沼氏との対談を収めた一冊。二年前に単行本として出版された本を改題・文庫化したもので、こんなに有名な著者の本でも、こうでもしないと寿命を保てないのか、と思うと、出版界の現状にやや寂しい思いも湧くものの、そのお蔭で本書を読む機会を得たわけであるので、この点には感謝したい。
 特に前半には、「古事記」の記述内容やその成立に関する話、仏教の教義や神仏習合についての話など、やや取り付きにくく込み入った話題も含まれているものの、全体に、教義や戒律によらずとも際立って高い倫理意識を保持するとともに、自然と対立するのではなく、これに畏怖を懐き、これとの調和を目指す日本人の美質と、その根源を成す皇室の存在の尊さを改めて実感させてくれる内容である。第3章で、アメリカは、目先の合理性を追求するあまり、要らない社員を使い捨てにし、能力の高い人材を引き抜くということばかりしているために、長く留まるつもりのないやる気のない社員が大半を占めるという非合理を生んでいる、という逸話が紹介されているが、これなどは、日本的経営に潜む真の強みを象徴する話と言えよう。
 東日本大震災で、住民に避難を呼び掛けるために最後までマイクを離さずに命を落とした若い女性がいたことは、以前から仄聞していたが、第4章の終わりでこの女性の話が取り上げられているのを読み、今さらながらに溢れる涙を抑えることが出来なかった。思えば、あの震災は、多くの犠牲と引き換えに、残された日本人に、日本人が忘れかけていた本来の日本人の姿を思い出させてくれたのである。塩沼氏の達観した心境にはほど遠い凡夫の身の上ながら、与えられた生に感謝しつつ、毎日を少しでもより意義あるものにしたい。そんなことを改めて思った。心が洗われるような思いを胸に本書を閉じる。

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