新装版 たのしいムーミン一家 (講談社文庫) の感想

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参照データ

タイトル新装版 たのしいムーミン一家 (講談社文庫)
発売日2011-04-15
製作者トーベ・ヤンソン
販売元講談社
JANコード9784062769334
カテゴリ » ジャンル別 » 文学・評論 » SF・ホラー・ファンタジー

購入者の感想

ムーミンシリーズとして3冊目の本ですが、最初に読むなら、この一冊が最適です。

全七章からなる連作形式の長編小説です。
ムーミン谷の仲間が冬眠に入る導入部「はじめに」から始まります。
第一章で春が訪れると、冬眠から目覚めたムーミントロールとスナフキン、スニフの三人が朝飯前におさびし山に登ります。そこで見つけた、不思議な帽子を軸に、物語が進んでいきます。
スノークのお嬢さん、ヘムレンさん、ニョロニョロなど、おなじみの登場人物(登場妖精?)も活躍します。

トーベ・ヤンソンのムーミンシリーズとしては、三作目です。
しかしながら、祖国フィンランドがソ連との冬戦争を戦っている時に書かれた第一作「小さなトロールと大きな洪水」、
ソ連との休戦後、休戦条件として国内のナチスを駆逐する戦争(ラップランド紛争)を戦ったにもかかわらず敗戦国扱いを受けて講和交渉中に書かれた第二作「ムーミン谷の彗星」が、
出版当時は商業的に成功せず、これらの版元から続編の出版を断られています。
この第三作は、パリ平和条約でフィンランドが国際社会への復帰を果たした1947年の翌年に、続編の出版を断った出版社のライバルであるシルト社に持ち込まれたものです。これがフィンランド、および母国語であるスウェーデンで大成功を収め、翌々年には英訳が「Finn Family Moomintroll」として、第二作の英訳「Comet in Moominland」とともに出版され、ムーミンが世界に知られるようになりました。
物語も、第一作で洪水に追われ、ムーミン谷に辿り着き、第二作で彗星を追いながらムーミン谷を冒険し、ようやく本作で落ち着いて過ごした一年の物語になっています。
そのような意味で、ムーミンシリーズを初めて読むには、この一冊が最適ではないかと思いました。

物語のなかで、スナフキンが語った「飛行おに」の影が迫るなか、最後は晩秋のパーティーで大団円を迎えます。

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