新古今和歌集〈下〉 (角川ソフィア文庫) の感想

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参照データ

タイトル新古今和歌集〈下〉 (角川ソフィア文庫)
発売日販売日未定
販売元角川学芸出版
JANコード9784044001032
カテゴリ古典 » 日本の古典 » 古代・中世文学 » 新古今和歌集

購入者の感想

長いこと日本では「万葉集」が評価され平安文化は良くない意味で貴族趣味、たいくつ、の評価が主流だったと思う。僕もそう思っていたし、それは、正岡子規(彼は当時古典の素養は乏しかった)の発言に影響され、また、戦後日本の活力ある「実感」主義などに、「万葉集」は合ったのかもしれない。でも世の中が停滞してきたせいか、あんまり気負いこんでも仕方がないや、という感じになってきたせいか、「新古今」はすばらしく心のひだを上手に練り上げているという印象に変わってきた。この歌集に出てくる可憐さや鮮やかさや、繊細さは、どれも「日本文化」のエッセンスのようだ。個人的には、式子内親王、後鳥羽院、俊成、俊成女、などの歌が特に好きだけど、ほかのひとはどうだろうか。小林秀雄が、西行を圧倒的に買っていたけど、「心なき・・」の歌は、やっぱり下の句に精華があって、上の句は、西行の良くない理屈っぽさが出ているように思るし、俊成らの一般の評価もそうだったと思う。正岡子規から小林秀雄までの「近代文学」=「自意識の時代」は、ちょっと理屈っぽい「実感」派だったように、今にしてみれば思える。という自分の考えも10年前とはまるで逆になっている。長い年月に生きてきた歌は、その時々で読む人の感じ方で色合いを変えてくれる。
現代短歌(明治以降「和歌」を「短歌」という)は、「おもしろい視点」にどこかしら興味が移行して、なんとなく理が勝っていて、厭な気がすることがある。もう一度、「和歌」として、古い言葉を上手に使って現代を詠んでみる風潮にならないものだろうか。そういえば、近代でも北原白秋の傑作などは、古語も外来語も上手に使って、「新古今」風に詠んでいたと思うのだが。

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