世に棲む日日(一) (文春文庫) の感想

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参照データ

タイトル世に棲む日日(一) (文春文庫)
発売日2014-12-12
製作者司馬遼太郎
販売元文藝春秋
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カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 評論・文学研究 » 日本文学研究

購入者の感想

幕末をいきた師弟の史実をもとにした、はかなくも短い日々をどう生きるか、を問いかけられるような胸を打たれる峻烈なものがたり。

この超巨匠の幕末シリーズでも傑作中の傑作です。幕末の俊英たちに限りなく敬愛されシンボル視された吉田松陰と、その弟子で意志をつぎ、”天馬空を翔る”ような活躍をみせた高杉晋作。苛烈な運命の翻弄によりはかなくこの世をきえたが、後の世にはかりしれない影響力を残した若者ふたりのものがたり。

そう、このふたりのリーダーは若者だったことに改めて驚愕せざるをえません。。。松蔭の少年時代、ムシがとまったところをはらってもそれは私事である、として蹴り飛ばされたような、すさまじい精神修練の時間が、万人を超越した知識と思想を形成してゆきます。かれの処刑後に、弟子達はかれの壮大な人間像と思想を深いところでようやく理解し、それぞれの行動を起こしてゆくのです。

そのひとり、高杉晋作は電光石火のひと。長州軍はかれのつくった百姓たちが中心の奇兵隊の活躍と、度肝を抜くような用兵の妙により巨大な幕府軍を打ち破るのです。かれはたぶん肺結核で、20代でこの世を去ります。この名作のタイトルともなる。。。辞世の句「おもしろきこともなき世をおもしろく。。。」は永遠の至言です。

やがてこの師弟をふくむ、幕末の若者たちがつくった激動のうねりが、時代を動かし、ついに今の日本へと続くわけですが、この地上に降りている今回の生の限りのある一日一日を、どのようにいきてゆくのか、と問いかけられているような、読後感が胸の奥深いところに残ります。

とくにこれからのわかいひとたちに、ぜひ、お読みいただきたい司馬文学の傑作です。

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