黒死館殺人事件 (河出文庫) の感想

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参照データ

タイトル黒死館殺人事件 (河出文庫)
発売日販売日未定
製作者小栗 虫太郎
販売元河出書房新社
JANコード9784309409054
カテゴリ » ジャンル別 » 文学・評論 » ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

購入者の感想

熱狂的読者のいるミステリー(?)ですが、難読書とされていますので、万人受けする内容ではないと思います。
冒頭箇所を引用しておきますので、お読みになって、関心を持たれたら、購入なさればよいと思います。

「聖(セント)アレキセイ寺院の殺人事件に法水(のりみず)が解決を公表しなかったので、そろそろ迷宮入りの噂(うわさ)が立ちはじめた十日目のこと、その日から捜査関係の主脳部は、ラザレフ殺害者の追求を放棄しなければならなくなった。と云うのは、四百年の昔から纏綿(てんめん)としていて、臼杵耶蘇会神学林(うすきジェスイットセミナリオ)以来の神聖家族と云われる降矢木(ふりやぎ)の館に、突如真黒い風みたいな毒殺者の彷徨(ほうこう)が始まったからであった。その、通称黒死館と呼ばれる降矢木の館には、いつか必ずこういう不思議な恐怖が起らずにはいまいと噂されていた。勿論そういう臆測を生むについては、ボスフォラス以東にただ一つしかないと云われる降矢木家の建物が、明らかに重大な理由の一つとなっているのだった。」

夢野久作『ドグラ・マグラ』(電子書籍での購入が可能です)、中井英夫『虚無への供物』とともに、日本探偵小説史上の「三大奇書」の中の一冊とされる本です。
成蹊大学の浜田雄介氏は、「本作における謎は、解かれるためではなく、謎として存在することで世界に対する問い直しを主張する」と説明しています。
その点が、ミステリーでありながら、アンチ・ミステリーである奇書とされる所以です。

名探偵法水麟太郎が、黒死館で起きる連続殺人事件に挑む内容です。
殺人事件の解決の話そっちのけで、宗教学、神秘思想、物理学、医学、薬学、心理学、などに関する学問・知識のひけらかし(衒学=ペダントリー)が津波のように次々と押し寄せてきて、意味の分からない専門用語に包まれてしまいますが、次第に黒死館の不可思議な世界に取り込まれ、不思議な快楽を感じながら(麻薬的ともいえると思います)、読書にのめり込んでいけます。
世界の文学史で最も重大な意味を持つともされる、メルヴィル『白鯨』もペダントリーが多岐に及びますが、多岐性に関してはその上を言っている感じです。

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