愛の妖精 (岩波文庫) の感想

「コオロギ」と呼ばれる、男の子のような少女が、恋愛を通して、美しく成長していく様子を描いた作品。主人公は、おそらく、若き日のジョルジュ･サンドではないかと、言われています。
私は、この小説を中学生のときに何度も読み返して、そのたびに感動して、泣いていました。ただ、不審に思ったのは、今でもそうですが、少女向けと解説されていることでした。少年は、読んで、感動してはいけないのだろうか、と思ったのです。ですので、私の中学時代の愛読書だったことは、今まで、誰にも言いませんでした。
しかし、勘違いしないでください。この小説の本質は、恋愛ではなく、愛です。エロスではなく、アガペーなのです。それが、通常の少女向け恋愛小説と、本質的に異なっている点です。ですので、ぜ!ひとも、若い男性も、一読してください。