マンガでわかる免疫学 の感想

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　ブルーバックスの『新しい免疫入門』（審良静男・黒崎知博，2014）の参考文献に「出色の出来の」入門書と評価された『もっとよくわかる！免疫学』（羊土社，2011）の著者・河本宏氏による免疫学の解説書。対象読者は生命科学系の大学生・大学院生や高校の『生物基礎』で急に免疫を教えることになった高校教員を想定している。本書に展開されるしくみはかなり詳しく、高校生にはここまでは必要ないと思うところもあるが、教える教員にとっては基本的な概念がコンパクトに解説されていてたいへん有難い本である。
　設定が卒業研究を免疫学の講座で学ぼうという理学部生命科学科の男女が教員に鍛えられるというもの。男性は大学院を視野に入れた研究を希望し、女性はマスコミ関係を目指している。したがって、適度に専門的な解説とポイントをはずさない内容になっている。細胞の挙動などの図は評判の良かった羊土社版の河本作を継承している。
　『新しい免疫入門』では触れていなかった免疫寛容（中枢性寛容と末梢性寛容）やT細胞の正の選沢、リンパ系・リンパ節のはたらき（品質のいい抗体をつくるしくみ）なども丁寧に解説されている。