人とサルの違いがわかる本 ―知力から体力,感情力,社会力まで全部比較しました の感想
参照データ
タイトル | 人とサルの違いがわかる本 ―知力から体力,感情力,社会力まで全部比較しました |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 杉山幸丸 |
販売元 | オーム社 |
JANコード | 9784274502682 |
カテゴリ | ジャンル別 » 科学・テクノロジー » 生物・バイオテクノロジー » サル・人類学 |
購入者の感想
類人猿と我々人間とが、あらゆる面から比較されています。科学的に検証できる両者の性質、生理的特長、食や住の習慣、病、運動能力、親子関係、社会生活、感情表現、道具使用や文化の伝播、教育方法、知能、心理能力等々を比較して、両者それぞれの特性を明らかにしようとしています。結論は断定的ではない場合もあり、現在判っている限りでの最新の知見が示されていて、まだ研究中の科学領域であることが判ります。しかしやはり本書の特色は、大型類人猿の最新行動観察結果に基づき、従来言われてきた人との差異の線が引きなおされて、彼らの社会行動、文化行動、知能などがより広いデータから、細かく分析されていることです。そこからまた逆に、人間の技術や人間の知能の特有さが際立たされています。
最後に、編者が考えている進化の哲学とでも言うべき立場から、過去に絶滅した生物の進化上の特性が指摘されています。この地球では、ある環境に最も適応できるように特殊化した生物は、一時的には、他の種に対して優位に立ち支配的になる。しかし地球環境は時とともに変化するので、一度特殊化してしまった彼らは、新たに変化した環境に柔軟に適応できずに滅んでいったという歴史上の事実。人間の場合は、樹木を握ることができる霊長類の足を、歩行のみに特殊化し、そのおかげで、器用な手と音声言語能力と大きな脳を持つことができた。しかし、その脳の働きによって生じた、種の内部での過当な競争と未来が断ち切られている無謀な開発に向かってひたすら突き進む心的傾向を、編者は警告。足るを知る心を育て、生態系を保存し共存していく本来の生き方を取り戻すことが必要だと力説しています。納得し共感できますが、実際にそういう社会をどう実現できるのか。考えこまされる本です。
最後に、編者が考えている進化の哲学とでも言うべき立場から、過去に絶滅した生物の進化上の特性が指摘されています。この地球では、ある環境に最も適応できるように特殊化した生物は、一時的には、他の種に対して優位に立ち支配的になる。しかし地球環境は時とともに変化するので、一度特殊化してしまった彼らは、新たに変化した環境に柔軟に適応できずに滅んでいったという歴史上の事実。人間の場合は、樹木を握ることができる霊長類の足を、歩行のみに特殊化し、そのおかげで、器用な手と音声言語能力と大きな脳を持つことができた。しかし、その脳の働きによって生じた、種の内部での過当な競争と未来が断ち切られている無謀な開発に向かってひたすら突き進む心的傾向を、編者は警告。足るを知る心を育て、生態系を保存し共存していく本来の生き方を取り戻すことが必要だと力説しています。納得し共感できますが、実際にそういう社会をどう実現できるのか。考えこまされる本です。