歌川広重保永堂版 東海道五拾三次 (謎解き浮世絵叢書) の感想

広重の五十三次をみる楽しみの一つは、自分も絵の中に入って一緒に旅しているような気になること。だから何回見ても意外に飽きない。
この本はそんな気分で五十三次の絵を楽しむのにふさわしいガイドブックになるとおもいました。

解説は半ページプラスアルファぐらいの手短なもの。著者の視点がそれぞれのシーンや中の人物に寄り添ってあたたかいのもいい。
たまたまアマゾンで目について衝動買いしましたが正解でした。久しぶりにまた五十三次してしまいました。今回は、摺りの違いや絵画としての細かい批評・薀蓄などにはあまりとらわれず、広重の案内する江戸時代の東海道の旅へ気楽に出かけてみました。
ちなみに本書だけでもいいですが、原寸サイズの絵（印刷でも、復刻版でも）を脇に置いてあちこち眺めるともっと楽しいかとおもいます。

広重の本で、浮世絵が大きく、解説も良いものを探していました。
この本は、謎解きスタイルで、読者が一番気がかりな所をうまくピックアップして掲載してあり、解説は浮世絵初心者でもサクサク読み進められると思います。
また、浮世絵は少しの色の濃淡で、印象が変わりますが、この本はオールカラーで美しく印刷されていると思いました。
一部分をこれだけクローズアップしてあるのも面白く、今までにない広重本です。
ただ、装丁好きの私としては、中身がこれだけいいのですから、表紙の紙などもう少し凝ってほしかったところです。