屋根ひとつ お茶一杯 魂を満たす小さな暮らし方 の感想

アマゾンで購入する

参照データ

タイトル屋根ひとつ お茶一杯 魂を満たす小さな暮らし方
発売日販売日未定
製作者ドミニック・ローホー
販売元講談社
JANコード9784062193429
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 社会学 » 社会学概論

購入者の感想

2か月前まで兄夫婦と米国に住んでいたのですが、土地代がタダみたいなものであることもあって、かなり広い家でした。
小さな子供二人の世話に追われているので掃除は追いつかず、毎週100ドル払ってハウスメイドさんに来てもらうものの、一日かけて終わるのは一階のみ。
冬はその大きな家を温めるだけの暖房費も日本ほどではないにしてもかなり高額になり、年金生活ではとにかく維持費がかかりすぎるからと、子供の成長後小さな家に移る夫婦は米国でもけっこう増えているらしいです。
東京の2DKのアパートに戻って、午前中だけで家のすべての掃除が終わることに安堵している時、この本を読みました。

文豪や芸術家が愛した小さなコテージの紹介、知性を感じる箴言の引用の数々が好きです。
「ネットより自分とのコンタクトを大事にする」という言葉、孤独がもたらす創造力を説き、幸福のお手本から逃れて自立のロードマップを見つけるという趣旨が素敵。

ワンピースを買えばそれに合う靴やバッグがほしくなるように、
ものをひとつ買うと、さらにほかのものを買う必要が出てくる。

著者のこのたとえは、とてもわかりやすい。
これは家電やインテリア用品など、すべてのモノに言える。
わたしたちは、次から次にモノを買いこみ、もっと買いたいから
働き、買ったモノに振りまわされて、
時間がない! 忙しい! と走り回っている。

小さい家に住むだけで、問題は一気に解決。
ほんとうだ。スペースがなきゃモノは増やせない。

本書には各国の「小さな家」が登場する。
アメリカの、200~300万円で自分で建てられる
30平米以下の、ちゃんと住めるハウスキットの話がおもしろかった。

掃除機からお鍋まで小さいものに変える、という提案もある。
冷蔵庫もキャンピングカー用のミニ冷蔵庫で十分、と。
確かに、冷蔵庫が小さければムダな食べものを買わないし
ムダな電力もいらない。

「そもそも時間というものは、私たちがリラックスし、
機嫌よくやさしくなるために役立ってほしいもの。
シンプルに、控えめに生きることが、さまざまな骨の折れる束縛から
私たちを解放してくれるでしょう」

小さな家で、機嫌よくやさしく暮らしたくなる本。
『フランス人は10着しか服を持たない』の家選び編みたい。

小さな家に住む効用のプレゼンテーションです、この本は。
小さな家は、シンプルで快適なライフのための手掛かりになる。
これはこれで、いいアイデアです。

しかし、実際に小さな家に住んでいる者からすれば、一見合理的に思える内容も、
著者の日本贔屓またはプレゼンテーターとしての思い入れが強いがために、マイナス面が隠れてしまっています。
わかりやすい例は、日々使用している布団や四季対応する衣服の収納スペースの問題がすぐに思い浮かびます。
筆者のように京都の町屋を見て語っても、現実的ではありません。現在普及しているマンションの多くはそこまでも収納スペースはありません。

われわれには、小さな家の象徴のような茶室の伝統があり、その建築様式を、数寄屋、好き屋、空き家などと表すように、
虚という老荘思想、道教思想があり、そこから普及した考えがいまだに生活に生きていますが。
茶室は実生活の場ではなく、究極の実験的空間。茶室のように、室内を空にするためには別に収納スペースが要ります。
部屋がフレキシブルに多様に使用できるのも、空に近い状態を保てればの話で。
布団の収納もできない手狭な部屋の集積のようなマンションなどでは不可能です。

実生活では、衣食住、炊事、洗濯、掃除・・・・・煩雑な内容があります。
それらを、小さな家が、持ち物を軽減させ、思考や生活をシンプル化し、快適にするというのはいい視点ではありますが
それならとっくに我々はできているはずです。
ですから、ひとつのプレゼンテーション、アイデアのディスプレイとしか受け取れませんでした。

あなたの感想と評価

コメント欄

関連商品の価格と中古

屋根ひとつ お茶一杯 魂を満たす小さな暮らし方

アマゾンで購入する
講談社から発売されたドミニック・ローホーの屋根ひとつ お茶一杯 魂を満たす小さな暮らし方(JAN:9784062193429)の感想と評価
2017 - copyright© みんこみゅ - アマゾン商品の感想と評価 all rights reserved.