すごいインド: なぜグローバル人材が輩出するのか (新潮新書 585) の感想

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タイトルすごいインド: なぜグローバル人材が輩出するのか (新潮新書 585)
発売日販売日未定
製作者サンジーヴ・スィンハ
販売元新潮社
JANコード9784106105852
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インドの新しい首相、モディ氏の来日に合わせて、タイムリーに出版された、インドについての本。
世界で活躍するインド人たちを紹介しながら、なぜ、インドではそのような人材が生まれるかを解説している。
勿論、学術的なアプローチではなく、新書ということもあり、自分の育った背景なども踏まえながら、
軽いタッチで、いろいろな話題を取り混ぜながら、説明しているという感じだ。
最後の章では、”インドと日本は正反対だからこそ助け合える”という題名だが、
書いてあることは、自分が日本に来てからの成功談が中心。
読み物としては、面白いかもしれない。
しかし、著者は日本とインドのビジネスを取り持つコンサルタントだけに、少し眉唾を付けて読んだ方がいいかもしれない。

著者はインド最高学府であるインド工科大学(IIT)を卒業し、在日歴15年を数えるインド人。日印双方の有力者と知り合いで、現在はインド進出のコンサルタントとして、日印関係を支えているキーパーソンの1人でもある。本書ではインド人やインドの今を語っている。インド人というと自己主張やアクの強い人を想像させるが、個人主義ゆえに自国のアイデンティティにこだわらず、日本なら日本、米国なら米国の組織文化に同化するから、MSやドイツ銀、ハーバードビジネススクールなどでリーダーになるという。

インド社会というと、汚職、貧困、カースト、女性蔑視など停滞感の強い言葉が多いが、著者はそれは田舎や下層階級など特権階級が支配する「古いインド」の話だという。都市部で高等教育を受けた「新しいインド」社会は実力主義で、平等が徹底されていると語る。教育の普及に従い、インドは「新しいインド」に代わりつつある。IIT同級生だった行政官が汚職がらみで殺されたことで著者が呼びかけ、IIT卒業生がインド政府に署名を出したこともあるという。また、金融業では女性CEOが多く、カーストも問われない。

貧困と汚職はインド人にとっては当たり前だと思っていたが、著者が「解決しなければならない」と強調しているのが印象的だった。私もデリーの空港で出国の時に職員に「いいから出せ」と有り金のルピーを全額巻き上げられ「これがインド」と笑ってしまったが、インド人もこれでいいとは思っていないんだなあと。

在日インド人として、日本の美点を高く評価しつつ、就職を控えた留学生のビザ発給が厳しい(就職浪人ができない)、意思決定が遅く考える前に動くインド人気質に合わない(オーナー経営者のスズキは即断即決が成功の要因だった)など、傾聴すべきポイントも示している。

日本に精通したインド人の語る「インドと日本」の本、あるようで意外とない。同じアジアの大国である中国に比べ、インドの情報は極めて乏しい。ライトな文章ではあるが、得る所は多いと思う。

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