枯山水 (NHK美の壺) の感想

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参照データ

タイトル枯山水 (NHK美の壺)
発売日販売日未定
販売元日本放送出版協会
JANコード9784140812129
カテゴリ »  » ジャンル別 » アート・建築・デザイン

購入者の感想

白い砂に、点々と置かれた自然の石。色鮮やかな花や木を、一切削ぎ落として、砂と岩だけの動かない抽象の世界。「枯山水」を、そう思っていました。本書の意見は、違うようです。

この庭には水がありません。代わりに、滝を模した石。小川や大河や海を表す砂の紋様。それらのことは、知っていました。そういう約束事なのだと。しかし、頭で理解するだけでは不十分のようです。そこに実際に水が流れているのを想像すること。それが、大事らしい。そうなると、水源である「主石」(おもいし)を庭内に探して、そこから、大海原にまで、流れる水を追うこと。その庭(世界)のなかで、水の一生をありありと感ずること。狭い庭は、世界になり、静止していると見えた庭は、動的に水が流れる場になります。流れ見えるのは、水だけでなく、人の一生も、日々も見えるようです。

石が幾つか立てられています。その石を地表で見られる形や位置だけで、浄土の縮図とか、あるいは形式美と解釈するのは、早計のようです。個々の石を正面から見て、据えられた石の埋もれた部分も合わせ考え、石全体の大きさや形を、想像する。龍や亀の背だけの岩から、水面下の全体像を想像する。立石を見て、その大地に根付いている力強さを、あるいは地の芯と繋がっている磐座(いわくら)の神的な力を、感ずることが大事のようです。

庭は狭く、縁側か、部屋の窓越しにしか、見られません。室内からの見やりを考え、窓枠の内に見られる風景を、部屋飾りにもするように作庭されています。ここも鑑賞の留意点のようです。しかし、室内から庭を見る機会は、今はありません。本書には龍安寺の庭を、室内から見た秀逸な写真があり、なるほどと思えました。

○頭で、砂を仮に水と見なす。○砂を水と見立て、眼前に実際に水流を描像する。これは、心の違う働きです。庭の拝見には、受身な静観ではなく、創造的な想像力が必要だと教えられました。

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