がん 生と死の謎に挑む (文春文庫) の感想
参照データ
タイトル | がん 生と死の謎に挑む (文春文庫) |
発売日 | 2013-08-06 |
製作者 | 立花 隆 |
販売元 | 文藝春秋 |
JANコード | 9784167330231 |
カテゴリ | 暮らし・健康・子育て » 家庭医学・健康 » 家庭療法・医学 » ガン |
購入者の感想
2010年末に出た単行本との違いは、著者自身が「文庫本のためのまえがき」で断っている通り、NHKの特番を収録した付録のDVDが付いていない、ということのようだ。当時の放映またはオンデマンド、あるいはDVDそのもので映像とナレーション・インタビューを確かめながら、といったコラボを意識した編集ということかもしれない。ともあれ、この文庫だけを(特番の助けを借りずに)単体で読んでいった場合、著者の口語体の記述はいささかくどいだけでなく、NHK特番の取材・編集の内輪の苦労話・自慢話が前面に出過ぎているように思えた。
また、がん治療・研究のリポートという角度からみると、記述内容は類書の中でも抜きん出て新しく、先鋭的、とまでは言えないように思う。著者自身の「自負」から離れていえば、文体のくどさと相まって、似たようなところをぐるぐる回っている感じ。近藤誠さんの「抗がん剤猛毒論(無益有害論)」を評価するなど、客観的で「医学界の主流の常識」にとらわれていない視点も随所にあり、著者自身の膀胱がんの発見と手術・治療をリポートした第2部「僕はがんを手術した」はさすがに臨場感に溢れていて読ませどころも多い。しかし、全体としては「がん研究の最先端を鳥瞰」しようとしたものとはいえ、抽象的・思弁的な箇所が多く、がんに関わるノンフィクションでは柳田邦男さんをはじめとする「虫瞰的」なリポート群の方が余程具体的でタメになるように思った。
また、がん治療・研究のリポートという角度からみると、記述内容は類書の中でも抜きん出て新しく、先鋭的、とまでは言えないように思う。著者自身の「自負」から離れていえば、文体のくどさと相まって、似たようなところをぐるぐる回っている感じ。近藤誠さんの「抗がん剤猛毒論(無益有害論)」を評価するなど、客観的で「医学界の主流の常識」にとらわれていない視点も随所にあり、著者自身の膀胱がんの発見と手術・治療をリポートした第2部「僕はがんを手術した」はさすがに臨場感に溢れていて読ませどころも多い。しかし、全体としては「がん研究の最先端を鳥瞰」しようとしたものとはいえ、抽象的・思弁的な箇所が多く、がんに関わるノンフィクションでは柳田邦男さんをはじめとする「虫瞰的」なリポート群の方が余程具体的でタメになるように思った。