Hiroshima Notes の感想

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参照データ

タイトルHiroshima Notes
発売日販売日未定
製作者Kenzaburo Oe
販売元Grove Pr
JANコード9780802134646
カテゴリ » 洋書 » Special Features » all foreign books

購入者の感想

正直、プロの文筆家の日本語とは思えない。
例えば、次の文。人によっては含蓄が深いと思うのだろうが…。

「しかし人間が人間でありうる極限的状況を生き抜こうとしている若い母親が、
独自の勇気をかち取るために、死んだ奇型の子供を見たいと希望するとしたら、
それは通俗ヒューマニズムを超えた、新しいヒューマニズム、
いわば広島の悲惨のうちに芽生えた、強靱なヒューマニズムの言葉としてとらえなれねばならない。」

「この核兵器の時代の、つい昨日まで、原水爆を所有しうる力を持ちながら、
しかもそれを所有しない国のイメージは、もっとも新しい人間的な政治思想そのものを提示するイメージであった。」

たしかに著者は被爆者からの聞き取り等、良い「一次資料」を持っている。
この点で、☆1つにはしなかった。
しかし、例えば、平和の大会における無関心な大衆…。
これは現在に通じる「サイレント・マジョリティ」の「平和運動」への距離の取り方に通じないか。

また、極めつけは、後に「しかし…」と続くのだが、次の一文である。

「中国の核実験にあたって、それを、革命後、自力更生の歩みをつづけてきた中国の発展の頂点とみなし、
核爆弾を、新らしい誇りにみちた中国人のナショナリズムのシムボルとみなす考え方が行われている。
僕もまたその観察と理解づけに組する。」

著者は、ここで条件付きながら、明確に「中国の核」を支持している。
全体では、いかにも著者が「いかなる…」派に属すると匂わせているが、これでは台無しである。
現在の中国は、ノーベル平和賞の受賞者の式典出席も認めない国である。
大江氏は「平和賞」でなく「文学賞」の受賞者である。
そしてこの受賞は、おそらくは日本語オリジナルでなく、欧米語へ「翻訳」された後の文章に対するものであることを
読者は銘記すべきだろう。

この時代の「進歩的文化人」に共通することだが、日本語が翻訳調にすぎる。

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